2000年から2002年まで、中国に留学し、北京語言大学で中国語を勉強していた、横浜の新保俊子さんは、このほど、北京へ3年ぶりにやってきました。
「前に来た時に比べて、自転車だけの道路が本当に少なくなりましたね…それから、王府井には、軽食を売る町があって、昔はそこは汚かったんですが、今は、びっくりするほどきれいになって、前と全然違う様子です。あと、東安市場がありますが、昔、(買いたいものがあるかどうかを)聞いたら、いつも『没有(ない)』ということだったんですが、今、買いたいものは何でもあります。本当に発展しましたね…」(新保俊子)
学生のころ、短波放送をよく聞いていた新保さんは、1985年のある日、ラジオから北京放送の「中国語講座」が聞こえてきて、中国語のほかに、中国人の生活などの情報を教えてくれるその番組に魅了されたそうです。そして、いつか中国に留学したいという夢を持ち始めました。
しかし、その後、新保さんは、結婚、出産、育児などのため、なかなか時間がとれず、その夢は実現しませんでした。
そして、2000年に入って、ようやく自分の時間が持てるようになり、新保さんは、中国留学という夢を実現させたのです。
2年間の留学生活で、中国語の勉強を通じて、数多くの中国人と友達になった新保さんは、今回、北京へ、それらの友達に会いに来ました。
新保さんは、その友達が所有する家に滞在しました。平屋と高級マンションの二つの家を持っているその友人から、この二箇所のどちらに住んでもかまわないと言われたのですが、新保さんは、迷わず平屋のほうを選びました。理由について、以下のように語ってくれました。
「あのマンションは、本当に日本では買えないくらいの大きさ、トイレも二つあるし、シャワーも二つあります…平屋とマンションのどっちに住んでもいいよと、その家族から言われましたが、私は、マンションじゃなくて、シャワーも風呂もない平屋を選びました。そこは、北京の町からだんだん消えてゆくであろう四合院の感覚が味わえます。木造の門、煉瓦造り、どれをとっても本当の中国伝統の建築様式です。マンションより、そっちの方が魅力的だと思いましたから。」
中国語の勉強を通じて、中国の伝統文化に接したほか、新保さんは、人生について改めて考え、理解したこともあったそうです。
「中国語に、『差不多(大体…である)』、『没事(大丈夫)』、『没問題(大丈夫)』という言葉がありますね。それらの言葉は、ことを適当に始末して、人をごまかす意味が込められているので、中国にいるとき、あまり好きではなかったんですが…日本に帰って、いろんな悩みとかがあったりして、それらの言葉を思い出したら、本当に、人生において、悩みがあっても、苦しいことがあっても、『差不多』、『没事』、『没問題』で考えれば、全部たいしたことないんだよ、と考えることができました。」
今、中国にはぞくぞくと諸外国から留学生がやってきています。中国語を学ぶ、そんな各国の留学生たちも、新保さんのように、中国で有意義な経験が得られればいいですね。
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