1月9日、北京中心部にある中国人民対外友好協会友誼館で、「円仁の足跡をたどるーー阿南史代写真展」が開幕しました。
3日間の日程で開かれたこの写真展では、日本の中国駐在大使阿南惟茂氏の夫人阿南史代氏が、平安時代の日本の高僧、円仁が中国で歩んだ道を歩き、中国各地で撮った写真125点が展示されました。
天台の高僧である円仁は、838年、最後の遣唐使に参加し、唐代末期の中国において9年間にわたって教学の研究に励みました。中国大陸での歳月は旅また旅の連続でした。彼は、さまざまな人と出会い、教えを求め、そして思想を熟成させていきます。
円仁自身によるこの旅の記録が「入唐求法巡礼行記」です。ここには、唐の朝廷における熾烈な権力闘争や地方の政情不安、僧侶・官吏・庶民の風俗習慣など、唐代末期の世相を鮮やかに描いています。
これは、日本人による初の本格的旅行記であり、玄奘(げんじょう)の「大唐西域記」、マルコ・ポーロの「東方見聞録」とともに、三大旅行記の一つとされています。
中国およびアジアの歴史や地理に興味を持つ阿南さんは、その本を読み、円仁が真の仏教を追い求めて、一日に三、四十キロ歩き続ける精神に感動し、彼が歩んできた道を再び歩こうと決めました。
2001年から5年をかけ、阿南さんは、円仁の旅行記に書かれた寺、仏塔、河川などを訪れ、自らの目で見た中国各地の風土を写真に収めました。
「それらの写真を通じて、みんなに円仁の旅を実感してもらいたいです。今、中国と日本は、いろいろ揉めているところがありますけど、実は日中両国民の間にとても交流の多い時期ですよ。唐の時代と同じように…円仁は、唐の人たちの助けなしには、この旅を続けることができませんでした。この写真展を通じて、私達はいまでも互いに頼っているということをみんなに分かってもらいたいです。」
阿南さんは、こんな思いを抱きながら、真心を込めて中国の方と交流してきました。この日、写真展に、たくさんの中国人が見に来ました。
「この写真展を見て、2006年、新しい年を迎え、中日交流のいいスタートが来たのではないかと思います…」
「これは、教師にとっても、学生にとっても、大切な知識を得ることができます。この写真展は中日友好にも積極的な影響を与えるでしょう…」
みんなから強い反響を呼び、阿南さんの写真展は中日交流の新たな一ページを切り開くことになりそうです。
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