8月20日からの一週間、東京太極拳協会第25回学習訪中団は北京を訪れ、会員たちは、受け入れ側の北京対外友好協会の協力で、今まで習ってきた太極拳を更に上達させることができました。
東京太極拳協会は、1980年4月に創立された団体で、武術太極拳の普及活動を通じて、広く国民の健康増進・向上を図り、日本中国両国民の相互理解を深めることを目的としています。現在、東京、神奈川、埼玉を中心におよそ120の教室を持っており、指導員は240名、会員は2000名以上います。
成立当初から、毎年、太極拳学習訪中団を組んだり、中国から太極拳の先生や代表団を招いたり、中国や日本で行われる活動に参加したりして、交流をたえず行っています。
訪中団の一人、埼玉県北葛飾郡在住の豊島浩子さんは、いま、越谷太極拳教室に通っています。十年前から、お子さんと一緒に太極拳を習いはじめたそうですが、今回ははじめてこの学習団に加わりました。「練習は毎日つづけるのが最初不安だったが、日日を重ねることに、身体にスムーズに入ってくるので楽しくやらせていただいている。特に最初の準備体操は、いままでやったことないことをやって、やってきた32式太極拳とつながりがあると思う」と。
学習訪中団の副団長の大和久美代子さんは、「細かいところまできちんと教えていただいて、身体の中の使い方まで、丁寧に教えていただけるので、とても健康にいいと思う。実感しながら練習している。」と話しました。
今回の訪中団のスケジュールは、一日五時間みっちり太極拳を習ったことで、観光にいく時間はあまりなかったそうです。豊島浩子さんは、朝早く起きて、北京市内を一望できる景山公園を訪ねました。それはただの「観光」ではなく、朝の公園で太極拳をやっている人が多いと聞いてやってきたのです。
「公園の中に、太極拳をやっている中国人が多い。中国語はあまりできないだが、みなさんと少し話しができた。うれしかった。」
ところで、太極拳は、中国の長い歴史の中から生まれた拳法の一つで、円に沿った流れるようなゆったりとした動きが特徴です。健康法として中国の人々の間、特に中高年の間で人気があります。日本での普及活動も二十年以上になるそうです。陳式、楊式、孫式などの流派、そして24式、48式など規定太極拳がすでに日本に定着しています。現在、日本における愛好者は50万人ともいわれています。
この間、太極拳の先生について少しやってみましたが、呼吸が自然に調節され、気持が落ち着いてくるように感じます。一見、運動量があまりないように見えますが、やった後は、かなり汗をかきます。それによって疲労感が取れ、身体はすっきり軽くなります。中高年だけではなく、普段運動不足の若者にも向いていると実感しました。
訪中団のメンバー、稲塚新一さんは、去年脳梗塞で倒れて一時半身不随になったですが、食事、先生からもらった薬、そして太極拳、この三大要素で、今、すっかり回復しました。健康法をお探しの方々、太極拳をやってみたらいかがでしょうか。
大和久美代子さんは、今太極拳の指導者となりましたが、最初の体験を次のように話しています。
「最初に行った教室の先生は、難しいことばかり言ってたから、やめようやめようと思いながらやってきた。先生として皆が楽しく長く続ける方法を見出すのが重要だが。。。太極拳はやればやるほど、その奥の深さと難しさが分かる。」
今回の学習で中国側の太極拳の先生、五人が指導にあたりました。体育学院の若い先生もいれば、40年以上の太極拳暦を持つベテランの先生もいます。4年前、東城体育学校を退職した劉鴻池さんは、孫式太極拳の指導で評判の高い先生で、2003年、東京太極拳協会の招きで、日本を訪問したことがあります。太極拳が日本で大いに普及したことに大変驚いたそうです。劉さんの紹介によりますと、中国で教えた弟子は一番多いのはやはり日本人、次は韓国人。最近は、欧米人の間でも太極拳がブームを呼んでいるそうです。劉先生は、「今回の学習団で来られた日本の方々は、ちゃんと基礎ができていたから、指導が順調で楽しかった」と言いました。
劉先生は、「このように民間の交流をすすめて、友好の絆を固めていきたい。今、中国と日本の間は、ギクシャクが起きて、日本政府は中国に対して、友好的でない言動があったが、民間は別だと思う。学習訪中団の皆さんと接して、みなさんの友情と優しさを感じた」と話しています。
更に、訪中団の佐々木浩団長は、太極拳は友好のきっかけだと指摘しています。
「太極拳を通じて、中国が好きになって、中国観光をしたい。学ぶことによって、中国の先生と接すると、言葉を学びたい、中国語を覚えたい。更に中国の文化に親しんでいく関係性がある」と。
東京友好協会は、12月下旬、また訪中団を中国に送るそうです。そして、北京市対外友好協会は、大きいイベントとして、2007年第二回中日伝統芸術交流大会を企画中。このような交流を通じて、両国の人々が相互理解を深めていけると信じています。
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