私は大学在学中、交換留学生として、名古屋外国語大学で10ヶ月の留学生活を送ったことがある。大学は名古屋市の岩手町にあった。今回の愛知万博の会場まで自転車で20分ぐらいしか離れていない、とても静かな町だった。「日本に対する印象はいかがですか」「日本人のことをどう思っているのですか」と質問されるたび、私は自分の感想をいろいろと話してきたが、帰国して一年、ようやくその感想を文字にすることができた。ただし、ここで言っておかなければならないのは、以下の私の見聞は主に名古屋で得たものだであり、それを日本の普遍的な現象とさせていただく。
男は家族を養い、女は家庭を守る
日本に渡る前に、「日本では女性の就職率が上昇した」という話をよく耳にした。「中国のように共稼ぎの家庭が多いのかな」と思いながら日本で暮らしていたら、「どうやら『男は外、女は内』という社会だ」と思われた。
休日は留学生の文化実習に参加したり、アルバイトをしたりして忙しかったので、私はよく平日に買い物へ行った。スーパーに入ると、サラリーマンはもちろん、年配の男性さえめったに見えなかった。子供連れ、あるいは知り合い同士でカートを押している主婦ばかり。休日に行って見ても、籠を手に取って買い物をする私のような男は珍しいと言っても過言ではない。
それから、銀行や市役所などは、休日は営業せず、平日も午後早く終わる。そんなわけで、日常の会計管理も主婦に任せるしかないだろう。
女性専用車両が使用され始めたものの、ラッシュアワーに電車に乗る女性は圧倒的に少ない。夜の電車は仕事帰りのサラリーマンたちで溢れ、酒臭い匂いが漂っている。
日本では夫は生活費を稼いだり、ローンを返したりして家族を養い、妻は家事や子育てをして家庭を守る。「男は外、女は内」という社会だった。
~続く~
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