映画の書き入れ時と言われる夏休みがスタート！この7月、中国映画で最も期待されているのは、新作アニメ映画『大魚海棠（Big Fish & Begonia）』。これは戦国時代の思想家・荘子の「北冥に魚あり、其の名を鯤と為す」の物語を原案に企画したもので、『山海経』『捜神記』といった古書や古代神話の要素も取り入れ、神話と伝承が絡み合った中国色の強いファンタジー作品に仕上がっています。梁旋監督が12年かけて完成させた渾身作で、日本のジブリ作品にも劣らない圧倒的な映像美に全世界から注目が集まっています。

　ストーリー：海の底に広がるもうひとつの世界に住む少女・椿は、ある日、魚に姿を変え人間界に行こうとしたところ波に呑まれてしまう。危ないところを人間の少年に助けられるが、少年は命を落としてしまった。少年の勇気に感動した椿は、禁忌を犯して彼を生き返らせようとするが…

　大鱼海棠（Big Fish & Begonia）

　公開予定日：2016年7月8日

　監督：梁旋 張春

　もう1本のお勧めは『路邊野餐(Kaili Blues)』。2015年に東京で開催された中国インディペンデント映画祭2015で、『凱里ブルース』の日本題で紹介されたこの作品が、1年越しの国内公開となります。舞台となる貴州が現実に抱える経済的な背景をリアルに映し出しながらも、この地域に流れる独特の時間の流れを魅惑的に描いた、どこか不思議で幻想的な1本です。全編貴州方言で構成されています。

　監督の畢贛（ビー・ガン）本人が映画の舞台である凱里の出身で、彼は詩人としても知られている青年監督。この作品はロカルノ国際映画祭現代映画人部門最優秀新人監督賞を受賞したほか、台湾金馬賞新人監督賞へのノミネートも果たしました。

　ストーリー：貴州省東部の小さな町の、霧に包まれた診療所で勤務する医者の陳升は、甥が何者かに連れ去られてしまったと知り、連れ戻しに出かける。途中、陳升はある村へとたどり着く。そこは時間の流れが他とは違う不思議な村だった。

　路邊野餐 (Kaili Blues)

　公開予定日：2016年7月15日

　監督：畢贛（ビー・ガン）

　主演：陳永忠 謝理循 余世学 郭月

　ほかにも、公開延期となっていた数本の作品が、この7月に公開決定。2015年のモントリオール国際映画祭で好評を博した邢健（シン・ジェン）監督の『冬（Seven Days）』が7月8日、郭富城（アーロン・クオック）と楊子姗（ヤン・ズーシャン）がW主演する『天亮之前（One Night Only）』と、成龍（ジャッキー・チェン）映画の最新作『SKIPTRACE／絶地逃亡』がいずれも7月22日に公開決定。（ミン・イヒョウ　謙）