日本の政治家・大平正芳(1910-1980)の評伝『祖父・大平正芳』(渡辺満子著)の中国語版出版を記念する出版座談会が18日午後、北京にある中国社会科学院近代史研究所で開かれました。
著者・渡辺満子氏(日本孫中山文化基金会副会長)のほか、在中国日本大使館の川上文博公使参事官、中国社会科学院近代史研究所の王建朗所長、同科学院世界史研究所の汪朝光所長、中国公共外交協会の胡正躍副会長、日本孫中山文化基金会の李纓理事長など各界の代表や研究者ら20人余りが参加しました。
座談会は社会科学文献出版社と日本孫中山文化基金会の主催によって開かれたもので、中日友好事業に積極的な役割を果たした先人を偲び、彼らの功績を思い起こすことで、関連分野での中日学術界の交流増進を図ることを目的としています。
故大平正芳氏は、1972年9月に田中角栄内閣の外相として、国交正常化交渉で重要な役割を果たしたのに続いて、1979年の首相在任中(1978.12-1980.6)には、最初の対中円借款の供与協定に調印、また、北京における日本語教育者や日本研究者を育成する「日本語研究センター」(通称「大平学校 」、1980年設立)の創設に尽力したことでも知られています。
座談会では、大平正芳氏の中国とのかかわりが語られ、中日両国の友好関係の発展に尽くしたその功績が讃えられました。中国社会科学院近代史研究所の王建朗所長は、「中日国交正常化は日本国内の大きな反対を押し切って初めて実現されたものだった。これには当時の大平外相と田中総理の大変な勇気と決断があった。中日両国はこの決断により、近年ではここ百年来で最も友好的な時期を迎え、いずれの国もその中から大きなメリットを享受してきた。水を飲む時には井戸を掘った先人たちのことを忘れてはならない。大平氏はまさにその中の一人であると言える」と語り、更に「今日の両国関係はまたもや重要な転換点を迎えている。これを乗り越えるためには、政治家の智慧と勇気、国民の理性と健全な考えが必要だ。こうしたことに思いをはせることは、大平氏を偲ぶことの現実的な意義ともなろう」と強調しました。
座談会に出席した渡辺満子女史と弟の森田光一氏
なお、著者の渡辺女史はCRIのインタビューに対して、同書は「政治家とその政治家を支える家族の"愛と哀しみ"を、孫娘である私が"女性の視点"で描いた本だ」と紹介し、「とりわけ中国の女性たちにたくさん読んでほしい」と期待を語りました。 (取材:王小燕)
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