6日、ニューヨーク株式市場は暴落、3大株価指数はいずれも2%下落して取引を終えることとなりました。中でも、ダウ指数は一時700ポイント余り暴落、米国の資本市場は暗雲に包まれました。
米政府は、さらに1000億ドル相当の中国製品に関税を課すべきかを検討すると発表、この「パフォーマンス」は投資家のパニック状態をエスカレートさせました。曾てリアルショーで司会者を務めたトランプ氏は、大統領に就任してからもそのスタイルを変えることなく、「お前はクビだ!」とばかりに次々と閣僚を解任してきたほか、ここになって世界を舞台にトラブルメーカーとしてのギアを入れてきています。彼の就任後まもなく、商務省は輸入の鉄鋼とアルミニウムへの232条調査を実施し、各同盟国との間で交したFTAの改定に乗り出しました。もちろん、韓国のようなお利口さんの国は、「クビ」にされないよう米国の要求に真っ先に同意しましたが、EUや日本、アルゼンチン、メキシコなどは、駄々をこねるとクビにされるという運命を受け入れませんでした。そこで、トランプ政府はさらに232条を改正し、一部の国からの鉄鋼とアルミニウムの輸入を一時停止し、高関税を課すことを決定しました。
それでも、この232条調査はプロローグにすぎず、本当の意味でのクライマックスとして、米政府は中国に対して301条調査を開始し、臆面もなく「中国製造2025」計画をくじくと言い出したのです。こうした過ぎたおふざけは中国の反撃を喰らい、「悶着は怖くない」「とことんおつきあいする」と中国政府の何度にもわたる決意の表明を受けています。これは米国の予想外のことだったでしょう。
トランプ政権発足後のこの1年の間、ロシアゲートに関する捜査の影が付きまとう中、ここで外国に対し強硬な姿勢を見せなければ、これからの中間選挙においてどうして支持者らの期待に応えることができるでしょう?減税法案は債務の増加を招いており、このままいけば米ドルの地位を脅かす恐れすらあります。米国にとって、これは受け入れがたい事態となるはずです。
現在、米国にとっての最善策は「韜光養晦」(自らの力を隠し蓄える)と節約経営のはずです。ばらまきを止め、強みを生かして生産効率の向上に努め、公平な競争により世界の人々によりよいサービスを提供する、これは各国がグローバリゼーションと保護貿易反対に尽力していく上で真に求められる行いでもあります。
残念なことに、米政府は今この道を完全に踏み外しています。たとえば、今中国がハイテク分野で伸びようとしている時に、米国は中国と歩調を揃えて進むのではなく、その世界的覇権を利用して貿易摩擦ないしは貿易戦争に打って出て、中国の発展を妨げることに腐心しています。しかし、世界のイノベーションの中心は東方に向かい、特に中国へと移り行くトレンドがとどまることはありません。中国はこれまでに強大な経済的基盤を蓄積し、官民ともに技術開発に大量の資金を投入している他、完備された製造業のエコシステムがすでに確立されており、さらには毎年、700-800万の大卒人材を輩出、世界最大規模の内需市場を形成しつつあるからです。
おそらくは、このパフォーマンスが失敗したとしても、トランプ政権がそうそう簡単にはあきらめることはないのでしょう。であれば仕方ありません。当分この茶番劇を鑑賞させていただくことにしようじゃないですか。(ミン・イヒョウ 玉華 む)
筆者:卞永祖 中国人民大学重陽金融研究院研究員
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