中国人民大学国家発展と戦略研究院主催による「中米2ヵ国間貿易情勢シンポジウム」が6日、北京で開催され、先頃米国が発表した中国製品に高関税を課す措置を巡って討議が展開されました。シンポジウムには、中国人民大学、北京大学、中国社会科学院から経済学と国際関係学の研究者ら、並びに北京市内の各メディアから約30人が参加しました。
シンポジウムは、米国により引き起こされた「中米貿易摩擦」は、中国の経済にある程度の影響を与え、また中国は十分な報復措置を有するものの、結果としてどちらも勝者とはなりえないとの認識の下、米側が貿易制裁を繰り広げる原因、そして中国側がどう対応策をとるべきかなどについて分析が行われました。
米国の動機について、中国人民大学経済学院の于春海教授は「トランプ大統領は政府中間選挙にあたって、米国内の高い失業率と収入差の問題解決という大統領選の承諾を実現するための措置をとる必要に迫られている」との観点を示したほか、同大学の国際関係学の宋偉教授と北京大学国家発展研究院の余淼杰教授は、「米国は中米貿易における中国の高額な貿易黒字を警戒し、安全保障上の脅威と挑戦をもたらしていると捉え、世界第2の経済規模を保つ中国を戦略的ライバルとして定義し、中国の成長を制圧しようとしている」との観点を示しました。
中国人民大学経済学院の于春海教授
中国人民大学経済学院の宋偉教授
北京大学国家発展研究院の余淼杰教授
これまでの推移から考えると、米国には中国の自主的イノベーション、ハイテク製造、新型産業に高額な関税を課す狙いがあると見られていますが、これに対し、中国は必ず相当規模の報復措置をとるはずだとの見方が強まっています。中国人民大学経済学院の王孝松教授は、「中米間の貿易紛争は対話の余地がまだ広く存在している。双方が市場開放や知的財産権などに関して折り合いをつけることで、交渉を通じた問題解決ができるのではないか」との考えを示しました。
中国人民大学経済学院の王孝松教授
また、シンポジウム当日の朝のニュースでは、米国が通商法301条による調査に基づき、さらに1000億ドル相当の中国製品に関税を課す可能性を示唆したことが報道され、「中米貿易摩擦」が更にエスカレートすることが予想されましたが、シンポジウムに参加した専門家の間では、「500億ドルにせよ1000億ドルにせよ、中米貿易の総額の中では少額であり、学術的に見ても『貿易戦争』になる可能性は低い」との認識が共有されていました。 (取材:張強、む)
シンポジウム会場の様子
来場したメディア関係者
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