会員登録

1000億ドルは中国への脅威とならず

2018-04-07 14:51:27     cri    

 6日未明、米国の株式市場の終了直後に、トランプ大統領はツイッタ―で、「中国の反応に鑑み、さらに1000億ドル相当の中国商品に関税を課すべきかを検討する」とツイートしました。

 しかし、アジア太平洋資本市場には大きな反応が見られず、日本と韓国の株式市場では小幅に下げたものの、香港株式市場は上げ相場のまま取引を終えました。これは、トランプ大統領の発言を重要視していないことを示すものと言えます。

 中国と関係するアジア太平洋市場において、今回発表された1000億ドルの影響がその前に発表された500億ドルよりも少なかったのは何故なのでしょうか。これは、資本市場が1000億ドルという数字がブラフだと見ているということでしょう。そして、本当にこの規模の措置を発動することには難度がともなうことも明白です。

 現在、米国が中国から輸入している商品は大きく分けて2種類あります。一つは玩具、アパレルなどの完成品で、品質が高くて価格も安いことから取引されていますが、輸入品全体における比率はかなり低くなっています。この類の製品は、理論的には相手国を替えることも可能ですが、中国に代わる国を見つけるのはあまり容易なことではありません。例えば、米国の貿易企業が、関税を理由に電動おもちゃを中国からでなくタイから輸入することになる場合、タイの企業の生産効率、労働力やデザインのレベル、物流港のレベルが米国市場のニーズに適応できるかなど、多くの課題が出てくることになります。物流の面だけを見ても、中国市場のレベルに達するには十数億元かけたとしても数年の月日を必要とし、生産ラインの建設、人力の育成、システムの構築などについても、いずれも長い時間がかかり、単純に金銭で解決できるものではありません。

 したがって、中国の商品に対して25%の関税を追加することは、米国の輸入企業にとって、痛手の始まりにしかすぎません。もしも、中国が輸出しなくなったならば、米国の輸入企業は50%ないし倍以上の金額を払わなければならないことになります。

 次の商品は半製品です。例えば機械や電力設備などの商品がこれにあたります。これらの商品については、中国以外の国からの輸入で代替する場合、その代価はさらに大きなものになるほか、より大きな規模の労働団体やより高いレベルの産業の協力、より長い産業チェーンが必要になります。したがって代替する難しさは完成品よりも大きなものになります。

 1台の電動機を製造するには、基礎的な金属の製錬や、精密な工作機械、優秀な職人、レベルの高いデザイン、及びそれを支えるソフト面の環境とハード面の資源などが必要とされます。今の時代にこれらを備えている国は少なく、中国に代わる同レベルの場所を見つけることは、どれだけのコストを積んでも非常に難しいことです。

 ですから、もし本当に貿易戦争が発生した場合、米国経済が受けるショックは中米間の関連の産業にとどまらず、米国の製造業全体に影響が及ぶことになります。多くの米国企業は、中国の部品がなければ長期間操業できない状況にも陥るでしょう。そのような状況になった場合、米国の資本市場はさらに深刻なショックを受けることになります。

 一方、中国側は、報復措置として米国のハイテク製品に対して長期的に重税を課すことが必至です。これは短期的には痛みが伴うものの、長期的にみれば、国内企業の開発や国内市場の育成にプラスになることです。

 中国の資本市場は既に世界で2番目の規模に育っています。政府から民間まで、巨額を投じて開発を行う能力は昔とは比べ物にならないものになっています。こうした中で、もし中米両国が長期にわたる貿易戦争を展開することになった場合、政府は必ずや科学技術と先進技術への投入を増やしていくでしょう。この視点から言えば、貿易戦争は中国経済のより速いレベルアップを促進するものとも考えられます。

 1000億ドル程度で中国が驚くと思ったならば、アメリカはいずれそれが大きな間違いだったということに気づかされることでしょう。(玉華、む)

 筆者:雷思海 中国国際放送局国際問題研究学者

関連ニュース
写真トピックス
コメント
今週の番組
今日熱点
快楽学唱中文歌
特集ダイジェスト
LINKS