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岡田利規『三月の5日間』 北京初公演で好評を博す

2018-01-22 16:21:06     cri    
 日本の劇作家で演出家、小説家でもある岡田利規(44歳)の脚本と演出による『「三月の5日間」リクリエーション』が20日、3日間の北京初公演を終え、好評のうちに千秋楽を迎えました。


北京公演のポスター

 岡田氏が主宰する劇団「チェルフィッチュ」の代表作である『三月の5日間』は、米軍がイラク空爆を開始した2003年3月21日(米国現地時間では20日)を含む5日間における、日本の若者たち数組の行動を描いた戯曲です。誇張されたノイジーな身体表現を伴いながら、語り手と役柄を次々に入れ替えてストーリーを展開していくスタイルによって、日本の若者たちが抱く、とらえどころのない「リアル感」を構造化しています。2004年の初演によって、従来の演劇の概念を覆したとの評価もあり、翌05年に第49回岸田國士戯曲賞を受賞、その後、アジア、欧州、北米など、世界70都市で上演されてきました。

 北京で上演されたのは同戯曲を改作したリクリエイテッド版です。これは、オーディションで選ばれた若手役者7人(全員が25歳以下)で新たに座組し、これまでにない新しさを求めて再創造されたバージョンで、2017年12月1日にKAAT神奈川芸術劇場で世界初演が行われたばかりです。


『「三月の5日間」リクリエーション』ステージの様子
(北京日本文化センター提供)© Hideto Maezawa

 岡田氏は2015年に日本文化庁「東アジア文化交流使」として初めて中国を訪問。その時「北京の街自体が持っている『若さ』に刺激を受けた」ことがリクリエーションと中国公演のきっかけになったと振り返りました。その上で「中国での初公演が実現できたことはとても嬉しい。中国については分からないことだらけなので、とても興味があり、もっとたくさん知りたい」と今後も中国との関わりを持ち続けることを示唆しました。

 三日間の公演期間中は、毎回のステージ終了後に、岡田氏と中国の演劇関係者によるトークセッションも行われました。千秋楽に当たる20日のトークセッションに参加した中国の劇作家で、演出家の王翀(おう・ちゅう)さんは、「現代人、現代の生活とありのままに向きあった作品だった。舞台で描かれた若者の様子は、私が東京で実感したイメージにぴったり合っていた。舞台上で行われた1時間余りの饒舌なおしゃべりを聞いても、彼らの夢や考え、欲望を知ることもできず、彼らの世界との関わり方を感じ取ることもできない。そういったところが実に冷静に描かれていたと思う。また、曖昧でノイジーなボディーランゲージではあったが、伝えたいことを実にきめ細やかに、かつ正確に伝えていた」と高く評価しました。


トークセッションの様子、上の写真右から王翀、孫暁星、岡田利規

 ある観客は、「中国で流行っている演劇のスタイルと大きく異なり、実験性に富んだ舞台だった。描かれた若者の様子は、今の中国人に理解されにくい点が多々あったかもしれない。しかし、都市化が進む中国では、若者の姿が日本にどんどん近づいているようにも見える。これからの中国の若者を予行演習的に描いた作品として捉えることもでき、興味深く観劇させてもらった」と充実した表情で感想を聞かせてくれました。


観客と記念撮影をする7人の役者

 なお、今回の公演は北京市海淀区が主催する総合舞台芸術イベント「第8回 海之声新年演出季」の一環として行われたもので、北京日本文化センター、一般財団法人チェルフィッチュ、中間劇場による共同主催となっています。(王小燕、梅田謙)

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