中国の歴代の皇帝における最大のレジェンドである則天武后。中国唯一の女帝であり、皇位に登りつめるまでの紆余曲折や在位期間中の政局の荒波を経験しているからです。

　則天武后は現在の四川省広元市の出身で、都督の娘から中国唯一の女帝になるまでの人生は、まさにいばらの道でした。14歳で後宮に入り、32歳で皇后になり、67歳で皇帝に即位しました。波乱万丈の人生を送り、女性として皇帝の権力に挑んだのです。在位期間中は世の中も安定し、経済や文化も成長していきました。そして、太宗が築いた「貞観の治」から、唐の6代目皇帝である玄宗の治世「開元の治」への受け継ぎを果たしています。また、女帝として伝統的な男尊女卑に対抗し、何よりも先を行く勇気ある心が今日まで深く影響を及ぼしています。

　則天武后が祭られる広元市の皇澤寺には、今もなお貴重な歴史的遺跡が多数残されています。また、地元では、「女性の日」という則天武后を記念する盛大な祭りがあります。毎年9月1日に、各種の記念行事が行われ、着飾った女性たちが川沿いをめぐり、女帝の治世を偲ぶと共に、新しい時代の女性の姿を示しています。

　四川省の北部に位置する広元市はかつて「利州」と呼ばれ、陝西省と甘粛省に隣接しており、古くから「四川北部の玄関、蜀道の要衝」と呼ばれ、成都からの距離は300キロです。悠久な歴史と奥深い文化を持つ広元は、蜀道文化と三国志文化の中心地であり、則天武后誕生の地でもあり、「女帝の故郷」と称されています。皇澤寺、千仏崖、鳳凰楼などの名勝地を筆頭に、広元は深い歴史的背景と自然を融合して、中国西部の蜀道を飾る輝かしい舞台なのです。（ZHL、森）