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世界最先端を目指せ 中国の胃がん治療は今

2016-05-15 18:13:46     cri    
 「中国の胃がん手術のレベルは、日本に近づいてきている」――北京大学腫瘤医院で胃がん患者の手術デモを終えたばかりの国立がん研究センター東病院・胃外科科長木下敬弘医師(47歳)は、そう評価する。

 この13日から15日にかけ、国内外約2000人の専門家が参加する「第11回全国胃がん学術会議(CGCC2016)」が北京・国際会議センターで開かれた。北京大学腫瘤医院の招きで出席した木下医師は、中国で臨時医師免許を取得後、13日、同院で3D腹腔鏡による胃がん手術を実演した。手術の全過程は実況中継で会場に配信され、木下医師は会場から上がる質問に答えながら、約4時間にわたって手術デモを行った。患者の術後の経過は良好で、翌日から平常歩行ができたという。

 「中国の医師の皆さんは、非常に興味をもって手術をご覧くださり、日本の術式やその良さを十分に分かって頂けたと思うし、とても良い反響だった」と、木下医師は手ごたえを感じた様子。

 リアルタイムで手術デモを見た北京大学国際病院胸外科の韓志義医師は、「目の前で世界のトップの医師による術式の一部始終を見られるというのは、とても良い勉強になるし、自分も一緒になって手術をしたような気にさえなった。完成度の高い、出血を最小限に抑えた『白い手術』を目指すという日本の進んだ医療理念が今、中国でも受け入れられつつある」と感激を隠さない。

 
木下医師による3D腹腔鏡手術を実況中継で見学し、交流する会場の様子

 関係筋によれば、世界では毎年約100万人の新規の胃がん患者が発見されており、その中の約半分が中国に分布しているという。これは、塩分や油の摂取量が比較的多く、塩辛い食事を好む中国独自の食習慣が影響していると見られている。膨大な患者数を背景に、中国は近年、胃がん治療に関する研究や手術のスキルアップを狙い、医療先進国との交流を年々重ねており、重要度は増すばかりだ。今回開かれた「第11回全国胃がん学術会議(CGCC2016)」には、国内の参加者はもちろん、韓国・日本・アメリカなどからも、胃がん治療のトップクラスの医師と専門家が招かれている。

 様々な国との交流の中でも、同じく胃がん多発国であり、且つ世界最先端の手術レベルを誇る日本とは緊密なつながりがもたれるようになっている。3年前から中国の病院や医学会と交流を始めた木下医師の話では、国立がん研究センター東病院は、この3年だけでも、中国から若手医師約7人(3ヶ月~1年)を受け入れているそうだ。また、木下医師自身も、3年前に中国の病院の招きで初訪中して以来、これまでに天津・広州・西安・鄭州・成都・北京など、各地の病院から招かれるようになり、中国を訪れる回数は20回にも及ぶ。

 「日中間に様々な衝突があることは事実だが、医療という世界にはボーダーがない。政治的なことは関係なく、患者さんのこと、人類のことを考えて進めていくことこそ、本当の交流だと思う」と、木下医師は振り返る。


第11回全国胃がん学術会議(CGCC2016)の会場入口

 胃がんの世界では世界最高レベルの大会とされる「世界胃がん大会」の第12回会議が2017年に北京で開かれる。中国がこの会議を主催するのは今回が初のことだ。(取材:王小燕)

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