中国は平和のために

――国連平和維持サミットでの演説

　（2015年9月28日、ニューヨーク）

　中華人民共和国主席　習近平

尊敬するオバマ大統領

尊敬するパン・ギムン（潘基文）国連事務総長

ご列席の皆様

　オバマ大統領が今回の国連平和維持サミット開催を呼びかけたことを賞賛します。

　平和は人類の共通の願いであり崇高な目標です。国連平和維持活動は平和のために生まれ、平和のために存在し、世界の平和と安全を守るための重要な手段となっています。平和維持活動は紛争地域に自信を与え、現地の人々に希望を届けています。

　現在、世界の多くの場所で、紛争地域の人々が依然として戦乱の苦しみをいやというほど受けており、平和に対する渇望が更に強く、国連に対する期待が更に切実で、平和維持活動に対する期待が更に際立っています。中国は次の点を主張します。

　――平和維持の基本原則を順守するべきです。国連憲章とハマーショルド原則は平和維持活動の根本的な指針であり、引き続き堅持しなければなりません。国連安全保障理事会の決議は完全に実行されなければならず、いかなる国も権限を越えて事を進めることはできません。平和維持活動は現地の情勢と人々の望むところにしたがって、時を移さず撤退戦略を策定し、かつ実行する必要があります。

　――平和維持活動システムを整備するべきです。平和維持活動においては、予防外交と平和構築との縦方向のリンクを図ると同時に、政治的調停、法治の推進、民族和解、国民生活改善など横方向の協調も図る必要があります。国連安全保障理事会は当事国と出兵国の意見をより多く聴取する必要があります。国連は関連地域と共により協調的な平和維持パートナーシップを作り上げるべきです。

　――緊急対応水準を高めるべきです。平和維持活動を迅速に配備することで、平和のために機会を勝ち取り、命のために時間を勝ち取ることができます。中国は国連の新たな「平和維持能力待機メカニズム」の実施を歓迎し、加盟国に積極的な加入を呼びかけます。

　――アフリカに対する支援を強化するべきです。平和維持活動に対する主要なニーズはアフリカにあります。長期的には、国際社会と国連はアフリカ諸国の自己平和維持・安定維持能力の強化を支援し、アフリカの問題はアフリカの方法で解決するようにするべきです。

ご列席の皆様

　中国は国連安全保障理事会常任理事国として、平和維持活動に参加してからすでに25年が経ち、平和維持活動の主要な出兵国と出資国になっています。国連平和維持活動の改善と強化を支援するために、私は次の点を宣言します。

　第一に、中国は新たな国連平和維持能力待機メカニズムに参加し、そのために常設編成平和維持警備隊を率先して設置し、そして8000人規模の平和維持待機部隊を編成することを決定しました。

　第二に、中国は国連の求めに応え、より多くの工事、輸送、医療関係者を平和維持活動に派遣することを積極的に検討します。

　第三に、今後5年間で、中国は各国のために平和維持要員2000人を育成し、訓練や器材提供を含めて10件の地雷除去援助プロジェクトを展開していきます。

　第四に、今後5年間で、アフリカの常備軍と危機緊急対応部隊の設置を支援するために、中国はアフリカ連合に対し総額1億ドルの無償軍事援助を行っていきます。

　第五に、中国は国連のアフリカにおける平和維持活動向けに初のヘリコプター分隊を配備します。

　第六に、中国・国連平和発展基金の一部資金を国連平和維持活動の支援に活用します。

ご列席の皆様

　国連平和維持活動において、中国人の軍人と警官18人がすでにその命を捧げました。5年前、中国平和維持部隊の女性警官だった和志虹さんは、ハイチでの国連平和維持任務に従事中、まだ4歳の息子と還暦の両親を残し、不幸にして殉職しました。彼女はこう書き記しています。「広大な世界において、私は一枚の鳥の羽にすぎないかもしれないが、羽なりの方法で平和への願いを伝えていきたい」。

　これは彼女の生前の願いであり、同時に中国の平和に対する約束でもあります。

　ご清聴ありがとうございました。