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8月末から9月初めにかけて中国を訪問し、北京で初公演を行った日本「再生の大地」合唱団関連の取材をお届けします。
今回は合唱団団長の姫田光義さん、そして、日本から訪中団メンバーとして参加した中国人ジャーナリストの蒋豊さんにお話を伺います。
先週の番組でもお伝えしましたが、「再生の大地」とは、1950年から1964年にかけて、新中国が日本人戦犯に人間性を蘇らせるために設けた撫順戦犯管理所での出来事を描いた朗読、合唱組曲です。作詞大門高子、作曲安藤由布樹。全部で12曲からなっています。2011年にこの曲が完成した後、「再生の大地」という名の合唱団も結成されました。
合唱団はこれまで3回、中国東北の歴史遺跡を訪れるツアーを企画し、今月1日には北京で組曲全曲を披露する公演も実現しました。
ところで、「再生の大地」合唱団の誕生にかかわる重要な団体が2つあります。1つは「中国帰還者連絡会」(略して「中帰連」)で、もう1つは「撫順の奇跡を受け継ぐ会」です。
前者は中国の撫順戦犯管理所や太原戦犯管理所に戦争犯罪人として抑留された旧日本軍の軍人が帰国後の1957年9月に結成した団体です。団員の皆さんは帰国後、戦争中に犯した罪を証言をしたり、中日の友好を訴え続けてきました。その後、メンバーの高齢化に伴って、全国組織は2002年4月に解散しました。
解散に伴って、「反戦平和、日中友好」「過去のことを忘れることなく、未来に生かす(前事不忘、後事之師)」という「中帰連」の精神と事業を引き継ぐ目的で、若い世代からなる「撫順の奇跡を受け継ぐ会」が翌日に発足しました。受け継ぐ会は証言の聴き取り、証言集会の開催、中帰連に関係する資料・文献の収集・保存・整理・公開などを積極的に行っているほか、出版事業としては、季刊『中帰連』や会報『前へ前へ』を発行しています。
2006年11月、NPO「中帰連平和資料館」が埼玉県川越市に開館しました。
「再生の大地」の創作は、作詞の大門高子さんが中帰連メンバーの小山一郎さんと出会ったことがきっかけでした。朗読、合唱、踊りという形で撫順戦犯管理所で起きた出来事を伝え、反戦平和、日中友好を訴えています。
「再生の大地」の皆さんが歌を通して、声高らかに訴えていた「撫順の奇跡」とは何か、第二次世界大戦の終了から70年を迎えた節目の今年、「再生の大地」合唱団の皆さんが歴史の現場を訪れ、歌を通して中国の人々と交流する意義はどこにあるのか。姫田光義団長と団員の皆さんと行動を共にした蒋豊さんにお話を伺いました。
【プロフィール】
姫田 光義(ひめた・みつよし)さん
1937年神戸生まれ
中国近現代史研究者、中央大学名誉教授
現在は「撫順の奇蹟を受け継ぐ会」代表
合唱団「再生の大地」団長
「NPO中帰連平和記念館」理事、雑誌『中帰連』発行人
主な著書
『もうひとつの三光作戦』(姫田光義・陳平共著) 青木書店、1989年
『「三光作戦」とは何だったのか/中国人の見た日本の戦争』 岩波ブックレット1995年
『中国革命史私論』 桜井書店、2000年
蒋豊(しょう・ほう)さん
1959年中国北京生まれ
1983年北京師範大学歴史学部卒業
『中国青年』雑誌社編集・記者を経て、1990年に日本留学へ
1994年九州大学大学院文学修士号取得
現在は「人民日報海外版」日本月刊編集長、北京大学歴史学部客員教授。
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