新疆は中国の北西部にあります。かつてはシルクロードの通り道で、今も多様な民族が暮らすところです。古くから、ここは中国と中央アジア、西アジア、ヨーロッパを結ぶ交通の要衝でした。
新疆に住んでいる黄麗英さんは3年間かけて、髪の毛で刺繍した素晴らしい刺繍作品を多く制作しました。今日のこの時間は黄麗英さんのちょっと変わった刺繍の世界を覗いてみましょう。

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刺繍作品を作る黄麗英さん |
黄麗英さんの家に入りますと、多くの刺繍作品が壁に飾られているのが目に留まります。自然風景や人物が描かれた刺繍作品はいずれも髪の毛で刺繍されたもので、日の光を受けてきらきらと輝いています。髪の毛を使った作品を作ることになったきっかけについて黄さんは、「2年前に、娘が結婚することになって、娘に珍しいプレゼントを贈りたかったんです。いろいろ考えて、自分の髪の毛で刺繍した作品を贈ろうと決めました」と言います。
歴史書によると、髪の毛の刺繍は今から1100年前の唐の時代に作られ始めました。当時は、大きく花を開いた開花する時期にあたります。仏教を信仰する少女達は敬虔な気持ちを表すため、自分の髪で心を込めて仏像を刺繍したのです。髪の毛の刺繍は制作するのが難しい上、芸術性が高く、加えて長く保存できるのでコレクションに適しています。
黄麗英さんが娘に自分の髪で刺繍した刺繍作品を贈ったのは自分がいつも見守っていることを娘に感じてほしかったからです。
黄麗英さんは8カ月かけて刺繍作品を二つ制作しました。娘の彭絹さんは母からこのプレゼントを見て、感激で泣いてしまいました。彭絹さんは、「母の髪は細くてやわらかいから、刺繍にはちょうどよかったようですね。母は細い髪の毛を選んで、一本一本心を込めて刺繍してくれました。本当に感激しました」 と言います。
娘のために作品を制作したことがきっかけで、黄麗英さんは髪刺繍に興味を持つようになります。その後、3年で十数作品を作りました。自分の作品について黄麗英さんは次のように紹介しました。
「私にとって刺繍の針は絵筆と同じです。心を込めてこそ、美しい作品を作り上げることができるのです」と述べました。
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