2005年12月、新疆で仕事していた中国石油化学グループの高級エンジニアー康玉柱さんは中国工程院の院士に選ばれました。40数年間にわたる石油天然ガスの探査作業の中で、康さんは中国22の省の40ヶ所を越える盆地を回りました。新疆での約30年余りの間、タリム盆地で10の石油天然ガス田と一つの大型油田を発見し、国の石油工業の発展に大きな貢献をしました。

　6月、新疆の中心都市、ウルムチ市はとても暑いです。小雨が降っている日に、康玉柱さんに出会いました。古稀に近い康さんはとても元気に見えます。

　1936年、康玉柱さんは遼寧省の農家に生まれました。20歳のとき、長春地質学院に入学し、大学で勉強する機会を大切にしていました。「大学に入学できたのは有難く思いました。勉強に励んで、今後国のために頑張ろうと決心をつけました」と述べました。

　大学在学中、康さんは勉強に没頭しました。教材のほかに幅広い書籍を読んで、当時の活動範囲は殆ど、教室と図書館に限られていたそうです。

優秀な卒業生として、大学の先生になる資格を得ました。ところが、彼はもっとも困難なところへ行きたいと志望を出しました。それで、中国地質省で成立された第一探査グループのメンバーとなりました。この経歴について、康さんは当時を楽しく振り返っています。

　「当時、それは石油探査のグループだとわかって、自分も嬉しかったのです。石油探査と普通の探鉱が違うことに気づきましたが、学校で習った石油関連の知識が少なかったのです。そのため、一年ぐらいを掛けて、石油探査に関する知識を独学で学びました。それで、なんとなく自信が付いたのです。」と述べました。

　1960年代、中国の東北、華北などで相次いで石油と天然ガス田が発見されましたが、西北部のタリム盆地ではまだ何の発見もなかったのです。1970年、康さんは地質省の西北探査グループを率いて、タリム盆地にやって来ました。長年野外での仕事になれた康さんですが、新疆に来て驚きました。

　「新疆に来て気持ちが違いました。ここはとても荒れており、一面のゴビ砂漠の世界でした。百キロを走っても、家屋が見えなかったのです。生活環境、気候条件、民族風習などの面で色々な問題に直面し、克服しなければなりません。」 と述べました。

当時、タリムの環境は非常に辛かったのです。康さんと同僚たちはよく一日中、野外で仕事していたため、よく眠れず、食欲がないのは日常茶飯事でした。また、康さんはよく、部屋に貯まったいろいろな石や、野外で記録したメモを整理しながら、地質学の研究を展開していました。半年間の砂漠での日々を送った後、10キロも痩せました。昔の同僚、雷春三さんは「彼は細かいところまで観察していました。1メートルの地層が違っても、現地へ調査に行きました。」と述べました。

　長期間にわたった探査と研究をした後、康玉柱さんは、タリム盆地に大型の石油ガス田があることを発表しました。

　1977年5月17日、タリム盆地西南部にある「柯１号」石油井から、石油が採掘されたのです。これは、中国西部の静寂を破り、康さんの論拠を証明しました。三ヵ月後、康さんの指導の下で、「タリム盆地石油地質探査の原案」が打ち出されました。それによって、タリム盆地での石油天然ガス探査作業は大きく展開し始めました。

　1984年9月22日は記念すべき日です。その日、塔北にある沙参2号石油井は5000メートル掘られたとき、数億年も埋蔵された石油が湧き出し、初日の生産量は1000立方メートル、天然ガスは200万立方メートルに達しました。それは国内外で大いに注目され、石油地質採掘史上における一里塚となりました。

　1994年、康玉柱さんは中国地質業界の最高賞、李四光地質化学賞を受賞しました。2005年に、中国工程院の院士に当選されました。