大慈恩寺
歴代の王朝が都を定めた長安。その長安で古都の雰囲気を演出するもののひとつに大雁塔があります。塔は現在の西安の東南郊外慈恩寺境内にあります。
慈恩寺は648年、唐の第三代皇帝李治が亡くなった母、文徳皇后の慈恩を追慕して建立した寺で、高宗の皇太子時代に建てられました。当時の慈恩寺は僧坊1897室、僧侶300人が集まっていました。しかし、唐代末期、戦乱のため焼き払われ、今の大きさは昔の十分の一に過ぎません。
現在の境内にある当時の建物は大雁塔だけですが、塔の前方には明代と清代の建物が残っています。その講堂の中に金色の阿弥陀仏と昔の仏座が展示されています。講堂前の大雄殿には釈迦如来の三身仏と十八羅漢があります。これらの仏像は明代のもので、後年、鍍金したり、塗装して現在に至っています。塔の東南に明、清代の慈恩寺歴代住職の舎利塔が八基あります。庭園には鐘楼と鼓楼があり、その中にそれぞれ大きな鐘と太鼓が掛けられています。
現在の塔は煉瓦造りの七層で、高さ64メートル、中に螺旋階段があり、階段は碑と漸く擦れ違うことができるほどの幅ですが、最上階まで登ることができます。また、各層には正確に東西南北の四方に窓が開けています。
塔の南入口の左右の龕には唐第二代皇帝太宗の「大塔三蔵聖教序」の石碑と唐第三代皇帝の「大塔三蔵聖教序記」の石碑があります。碑文の内容は玄奘法師の苦労を称えたものです。
唐の下部の東西南北側にそれぞれ石門の上に横木が一本ずつあります。南の石門の横木を潜ると、中央広間の回廊の南側の石碑の上に科挙の合格者の名前と出身地が刻まれています。他の石門の横木にはそれぞれ精巧な線刻の仏像と天王像があります。特に西側の石門の横木に陰刻した釈迦説法図と殿堂図は圧巻です。
五門単層四注造りの仏殿は拓本取りで真っ黒になっていますが、陰刻された鴟尾や屋根などの状況は鮮明です。この仏殿図は日本の奈良・平安時代の木造建築の原形となっただけでなく、中国建築の歴史でも唐代の建築様式、絵画、彫刻芸術を伝える重要な文化財です。
大雁塔はすでに1300年の歴史があり、その間、震度7以上の地震に二度見舞われていますが、昔日の雄姿のままに重厚な姿を見せています。
住所: 西安市南郊大慈恩寺内
電話: 029ー5257958
開門時間: 8:00ー17:00
入場料: 20元、塔内 15元
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