北京西駅近くの宣武区広安門外馬連道に2キロ近くにわたって続く通りがある。その両側にはお茶に関する店が、軒を接する。プーンとしたお茶の香りが充満し、道行く人を店に誘う。この地域には約3000店舗のお茶に関する店が寄り集る、いわば北京の「お茶の秋葉原か中関村」と言えそうだ。
特に中国のお茶の父と呼ばれる陸羽)(733ー803)の彫像の建つ「北京馬連道茶城」は、4階建てのビルを、お茶、茶器、茶具などお茶づくしの店舗がひしめく。ここでは300種近くのお茶が商われ、中国人以外に韓国のお茶業者、日本の観光客も訪れ活気に溢れる。
中国茶の歴史は紀元前10世紀にも遡るらしい。しかし本稿は、それを論じるスペースはない。北京馬連道茶城にある大規模販売店「天月銘茶」の販売担当の劉然氏の説明を聞いた。
鉄観音茶、烏龍茶、普洱(プーアル)茶が中国の三大茶。お茶の産地は、福建省や雲南省など温帯や亜熱帯で、その他ではお茶は産出できない。共通点は、お茶の若芽や葉を摘み取り、熱処理した後乾燥や発酵させたものを、熱湯を注いでいただく。最初のお湯は「洗茶」といって捨てる。その後、ワインのように舌で転がして味わうと良い。
お茶の全般的な効能は、胃腸を丈夫にし、体内の脂肪を取るなどダイエット効果が見逃せない。これは中国の科学者が証明している。中華料理は油を多用するが、同時にお茶を飲みながらいただくことが多い。中国で極端な肥満者がいないのはこのためだ。特に普洱茶の新茶は乙女を、5年ほど醸されたものは貴婦人、10年もの以上は上品な老婦人として尊ばれる。そして年代を経るごとにその色は、緑、茶色、琥珀色と変化していきコクも深まるそうだ。
宣武区の馬連道に一度足を踏み入れることをお勧めしたい。秋葉原もそうだが、客を呼び込む店員とのやり取りも楽しみ。どの店でも無料の銘茶が振舞われるし、お茶を愛する人には堪えられないひと時が待っている。 (撮影・文:阿部 仁)
住所;北京宣武区広安門外馬連道11号 茶城3層 天月銘茶
電話;10-5165-2828、Fax;10-6339-2966
ホームページ;www.tianyuetea.com
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