「大漠(だいばく) 孤煙(こえん)直(なお)く長河(ちょうか) 落日(らくじつ)円(まど)かなり」これは唐代の大詩人・王維によって書かれた名句です。無限に広がる砂漠の中で、烽火台に煙が寂しそうに立ち昇り青い空へ広がってゆく。長い河は帯の如く。沈みゆく円い太陽、砂漠、河、夕日などの美しい瞬間を切りとった詩です。今も国内外の多くの人々がこの千年の名句に心を打たれます。詩に描かれた風景は中国の寧夏ホイ族自治区西部の中衛県沙坡頭にあります。
沙坡頭は中国四大砂漠の一つ、トングリ砂漠の東南にあります。沙坡頭の北は広大なトングリ砂漠、南は黄河です。トングリ砂漠の砂が北から南へと下り、黄河沿岸部にとどまって幅2000メートル、高さ100メートル、倾斜度60度の砂丘を形成し、これにちなんで「沙坡頭」と呼ばれるようになりました。ここは砂漠、河流、高山、オアシスが一体となった場所です。西北の雄大さと江南の優美さを備えています。独特な自然観光資源を有し、人文景観も非常に豊富で、中国5A級優秀観光地に指定されています。
砂と河という対立するものが自然の手により、完璧に融合しています。驚くべきは無限の砂漠でありながら荒れた様子を感じないことです。これは勢いよく絶えず流れ続ける「母なる河・黄河」があるからです。沙坡頭を流れる黄河はS字型の湾を形成しました。沙坡頭はちょうどこの湾の上にあります。このため、黄色い砂漠の中に神秘的なオアシスが現れました。黄河の水を農業用水に利用し、江南地方のような肥沃な土壌を育てました。黄河は寧夏に活気をもたらしたおかげで「寧夏は辺境の江南」との美称も生まれました。
砂坡頭は砂漠の環境問題の改善に成功したことで、国内外でその名が知られることとなりました。中国初の砂漠を貫く鉄道・包蘭鉄道は、中衛市地域では6回も砂漠を通過します。鉄道を正常に運行するためレールが砂に埋もれないように、レールの両側に植物を植え砂を固めました。何十年にわたり包蘭鉄道は正常に運行しています。この環境改善策が世界中で注目され、外国の専門家が次々と中国の砂坡頭を訪れました。国連にも砂坡頭の砂漠抑制処理は「人類の奇跡」と評価されました。
砂坡頭は中国初の国家級砂漠生態自然保護地区で、「砂坡頭へ行かなかったら、寧夏へ行ったとは言えない」と言われるほど有名です。ある観光客は「黄山へ行ったなら他の山には行く必要がない、砂坡頭へ行ったなら他の砂漠を見る必要はない」とその素晴らしさを表現しました。
砂坡頭での楽しみは「砂滑り」です。100メートルほどの高さから下降していきます。特殊な地理環境や地質構造により、滑ってゆくと大きな音が鳴ります。
そしてもう1つ楽しいアクティビティがあります。筏による黄河下りです。この川下りの特徴は伝統的な筏です。ここの筏は羊の皮でつくられているのです。羊を皮だけにして、中に空気を吹き込み膨らまします。これを浮力とし筏にしたのです。「羊の筏 」に乗れば、時空を超え古い文明を感じることができます。
砂坡頭が奇跡を創造したと言うなら、「沙湖」はもう一つの奇跡とも言えます。沙湖は45平方キロの水域を有し、砂漠に囲まれた地域です。砂、水という2つの特徴を持ち、互いが支えあっています。江南水郷と砂漠風景の完璧な融合とも言え「辺境の真珠」と呼ばれています。
沙湖地区は銀川市の西北部から56キロ離れた平羅県にあり、面積は80平方キロ、そのうち水域面積は45平方キロ、湿地面積は10平方キロ、砂漠面積は23平方キロです。沙湖は黄河の水を吸収し、多くの湿地と繋がっています。「人と水の調和」はすでに沙湖の発展ルートとなっています。湖内には植えられた多くの葦 が水源を浄化し、自然環境保護の役割を果たしています。
船に乗って沙湖を行けば、まるで仙境に入ったような感覚に包まれます。美しい少女が迎えてくれるかのようです。
幻想的な沙湖には現代的なアクティビティもあります。モーターボート 、サーフィン 、水上落下傘 などが楽しめ、冒険者の天国と言えるでしょう。
沙湖は豊かな資源に恵まれ、様々な魚が生息しています。最も有名なのは「大魚頭」で、5キロから10キロの重さがあります。自然の中で育った魚を材料として作る料理はとても美味しいです。沙湖へ行ったならぜひ「大魚頭」を食べて下さい。
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