タール寺は青海省西寧市の南西約25キロの湟中県魯沙爾鎮の南西にあるラマ教(チベット仏教)寺院です。
八つ蓮の花ように見える峰間からはるか遠くに見える八つの白い塔は大きな蓮の花の蕊のようです。黄色い帽子をかぶり、深紅色の袈裟をまとった僧侶たちは黙って白塔へ向かっています。この寺がチベット仏教ゲルク派(黄帽派)の寺院でゲルク派の開祖ツォカパの生誕地であるタール寺。
タール寺は、中国の六大ラマ教寺院の一つとされ、中国の仏教史上崇高な地位にあります。この寺院が建立されたのは明の時代、つまり今から600年以上前のこと。タール寺は中国の西北地区における仏教活動の中心となっていたました。
タール寺の中心にある大金瓦殿は、ゲルク派の開祖ツォンカパを記念するために創られたもの。この殿堂は小金瓦殿、大経堂、弥勒殿、酥油花院、跳神舞院と僧舎など建物からなり、チベット族と漢民族の伝統芸術を融合させて出来た古建築群です。
内陸地方の寺院でよく見られる中軸線を基にした造りとは異なり、タール寺の建築形式は縦に伸びる空間の配置をうまく活用しています。その原因は二つあります。一つは地理的な要素で、タール寺は山の地形にあわせて造られています。そしてチベット仏教の雰囲気にぴったりだといえます。二つ目は、宗教教儀の影響の受け、「人、地と天の三界」を具現させるために、バランスよく低いところから高いところに伸びるような佇まいになっています。
タール寺は、青海省にある仏教学院の中では最高学府です。この仏教学院は、显宗、密宗、時輪と医明の四つの分野に別けられます。顕宗と密宗の二学院は主に高級僧侶たちが仏教の教議を研究するところ。時輪と医明は主にチベット族と蒙古族の天文と医学の人材を育成するところです。この四つの学院には厳しい学位制度が設けられています。
学僧たちは毎日午後四時半に弁経(経典への会得を語り合うこと)を行ないます。この時間帯での参拝者は少ないために、騒がしさを知らないようなお寺は一層ひっそりとします。そして僧侶たちはうるさくない音と共に体を動かしながら一問一答の形で会得したものを交流しあうのです。
またここの「酥油花」、「壁画」と「堆繍」はタール寺の「三絶」と呼ばれています。
その一つ「酥油花」は、チベット文化の中でも独特な特色を持つバターを使った工芸です。「酥油花」は生命力のないものを生きているような工芸品に生まれ変わらせました。タール寺の僧侶たちはチベットの気候の特徴を利用し、いろいろな形の草花や山水、樹木などを作っていきます。もちろんこれらは仏教ストリー、仏教の人物などを宗教的に表したものです。「酥油花」の作り方は複雑で、一般には、バターが溶けにくく、きめ細かくなる冬の3ヶ月の間に作られます。数十から数百の「酥油花」を並べて故事の一場面を盛大に表現したものは"酥油花架"と呼ばれます。その造りの細かさ、色の異なる鮮やが目立ち。形もそれぞれ違い、めでたさと喜びの気持ちがこもっているのです。「酥油花」を数十或いは数百並べ、生き生きとした異なる色彩を放ちます。「酥油花」は毎年の旧暦1月15日の元宵節の夜に数時間だけ一般公開され、神聖な祭りをにぎやかに祝うのです。僧侶たちの繊細なバター細工によるこの工芸賓は祝祭日に鮮やかな彩りを添えているます。
二つ目は、寺院内でよく見かけられる壁画です。布の上に描いて壁にかけたり打ち付けたりしてあり、直接、壁や梁に絵を描くこともあります。これら画は鉱物顔料を多く使っているため、鮮やかなその色は時間がたっても変化しません。壁画の内容は、主に佛教と歴史の故事、それに怪奇は人物などです。
タール寺での「三絶」の三つ目とは「堆繍」で、これはチベットの特有工芸品で、タンカ(チベット仏教画の掛け軸)の一つです。伝統的な刺繍法を発展させたもので、多くの色の絹織物を色々な形に切り、羊毛や綿を詰めて布の上に縫いつけ、立体感ある仏像や風景、草花、鳥獣などに仕上げたもの。この「堆繍」にはタンカと大型のものがあり、タール寺では毎年旧暦月の4月6月での大法会と毎年の観経会で、長さ約30m、幅20mの大型の「堆繍」を山頂から中腹まで広げ下ろして、「大仏像」が披露します。
チベット高原の空は澄み切り、タール寺の芸術は頂点に達しています。敬けんな人々はここを参拝するでしょうが、あなたはその独有の芸術的な気質と宗教の魅力を感じ取ることが出来るでしょうか?
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