第五章:旅行
1.観光資源の概況

 中国は国土が広く、美しい山河があり、輝かしい文化を持っている。民族も多いので、風俗習慣は、場所によりそれぞれ異なる。また特産物も豊富で、工芸品が素晴らしく、各地の名物料理も海外で広く知られている。この様な中国の観光資源は豊かで、大きな発展の可能性を秘めている。近年、中国経済の発展と対外開放が進むにつれ、観光業も経済発展の新しい成長ポイントとなっている。現在、中国各地で観光地は増え続け、それに伴いインフラ設備も完備され、中国を訪れる海外の観光客も年々増えている。

 中国の観光資源は豊富で多種多様である。地形的には、海抜マイナス155mのトルファン盆地にある「アイディン湖」から、海抜8848.13mの世界最高峰の「チョモランマ」まで、高低差は9003mに及ぶ。これは、他には例をみない稀な数字である。気候的には、横断山脈地帯では、「一つの山に四季があり、十里ごとに違う空がある」と言われている。

 また、中国は世界文明発祥地の1つで、素晴らしい歴史と輝かしい文化を合わせ持ち、現代に伝わる遺産は貴重な観光資源になっている。1949年に新中国が成立して以来、34の省クラスの行政地区に29ヶ所もの旧石器時代の遺跡が発掘されている。

 この数々の名所旧跡の中でも「秦の始皇帝陵」と「兵馬俑」、それに「銅馬車」は世界八大奇跡とされ、「兵馬俑博物館」は毎年100万人の観光客が訪れている。また、敦煌にある「莫高窟」の壁画は世界芸術の宝庫と呼ばれている。更に、世界に名を知られる「万里の長城」は、中国人にとっても憧れの地である。

 2013年6月22日時点で、中国の世界遺産は45ヶ所にのぼり、そのうち文化遺産が31ヶ所、自然遺産が10ヶ所、文化と自然の複合遺産が4ヶ所となっている。これらの世界遺産には中国の山水、棚田、鍾乳洞、廟祀、殿堂、石窟、皇帝の園林、巧みな建築物なども含まれている。また、これらには中国人の美意識、信仰と風情が含まれている。詳しい内容は21章『世界遺産』へ。

 このほか中国には、56の民族がいるが、それぞれの民族独特の歴史文化と風俗習慣も色彩豊かな人文景観となっている。

 

2.中国の著名な自然景観

 桂林山水

 桂林市は中国南西部の広西チワン族自治区にあり、気候は温暖で、湿度も高い。冬は寒くなく、夏も暑くなく、四季もあり緑に溢れ、年間平均気温は19度である。

豊かな生態環境に恵まれている桂林は、研究によると、約3億年あまり前、一面海だったが、地殻変動により、石灰岩が地上に隆起し、長年にわたる風化と侵食により、美しい峰、神秘的な鍾乳洞などが形成された。これらの特殊な地形と景観、及び周囲の美しい田園風景が一体となった絶景は世界にその名を馳せている。美しい山河、神秘的な鍾乳洞や奇峰で形成される桂林山水は、「天下第一」と称賛されている。

 また、桂林は2110年の歴史をもつ古城で、悠久の文化を育んできた。国家、自治区、市クラスの重要文化保護財が109ヶ所あり、歴代の文人墨客が残した桂林の山水を詠った詩や仏像彫刻などが至る所に点在している。中でも「桂海碑林」「西山摩崖石刻」などが有名である。この他、桂林市の有名な観光名所は「碧蓮峰」「七星公園」「竜勝温泉」「芦笛岩」「象鼻山」などがある。

 現在、ホテル(星付き)は28、国際旅行社は18社、外国語の通訳は1000余人。桂林の観光施設は、整備が進み国内外の各都市を結ぶ直行便も40便を越える。

長白山

 長白山は中国東北部の吉林省と朝鮮の境界線上にあり、「図門江」「鴨緑江」および「松花江」などの大河の源である。一面に広がる樹海や、そこに生息する珍しい動物などは1980年に国際生物圏保護区に指定された。

 中国東北地区の最高峰と称される長白山は、歴史的には満州族発祥の地でもあり、清朝時代には聖地として崇められていた。ここは著名な観光名所であり満州族発祥の地、そして朝鮮族の聖山として広く名を知られている。

 常に白い雪に覆われた長白山は休火山で、文献によると、16世紀以降3度の噴火が記録されている。また、独特な地形はとても美しく、山頂にある「天池(火山湖)」や「岳樺林」、噴火口付近にできた「地下森林(谷底森林)」をはじめ、「美人松」「大峡谷」「高山花園」「主峰」「温泉」「黒風口」「浮石林」などが有名である。

 長白山の特産は、東北の三宝と呼ばれる朝鮮人参、貂(テン:イタチ科の動物)の毛皮、鹿茸(鹿の袋角を乾燥したもの、漢方で増血・強壮剤などに用いる)。また、山には美人松、山葡萄、野生きのこ、東北トラ、丹頂鶴など珍しい動植物が数多く見られる。

 長白山へは交通の便も良く、韓国のソウルや北京、上海、沈陽から飛行機で延吉に入り、延吉からはバスの便も利用できる。麓や山腹などに様々なランクのホテルもある。

 

4.中国の著名な観光都市

 中国は広大な土地に、多くの民族がいて各都市それぞれに特徴がある。華北地区には中国の首都・北京があり、東部には経済の中心地・上海、西部には風光明媚で民族色豊かな・ラサ、南部には一年中春のように美しい昆明などがある。各都市は960㎢の大地に美しく輝く真珠のように散らばっている。

 中国には優秀観光都市が137あり、そのうちの主な都市は北京、天津、重慶、深圳、杭州、大連、南京、アモイ、広州、成都、沈陽、青島、寧波、西安、ハルピン、済南、長春、ラサなどである。また、ハルピン、吉林、鄭州、肇慶、柳州、青島などの10の歴史文化都市もある。

北京

 北京は中国の首都で、政治、文化の中心である。華北平野の北部にあたり、地理的にはイタリアのローマ、スペインのマドリードと同じ緯度上に位置し、温帯大陸性モンスーン気候。夏と冬が長く、春と秋は短く、非常に乾燥している。年間平均気温は11.8℃である。

 また、北京は悠久の歴史を持ち、都市としての歴史は3000年前まで遡ることができる。春秋戦国時代(紀元前770年から紀元前221年まで)北京に都が置かれ、秦、漢、三国時代には中国北方の重要な都市と位置付けられていた。北京の首都としての歴史は金の時代から始まり、その後、元、明、清の各時代を通して首都として繁栄してきた。過去に34人の皇帝がここで行政を行った。

 1949年の新中国成立後、特に改革開放政策実施以来20余年、北京は日進月歩の変化を遂げ、街には近代的な建物が立ち並び、海外との交流も拡大し、国際都市の仲間入りを果たした。現在は、歴史あるたたずまいと現代的な建物が融合した街並みが多くの観光客を引き付けている。ここ数年、毎年外国からの観光客、数百万人と国内の観光客、数千万人が訪れている。

 悠久の歴史を持つ北京には、多くの名所旧跡や豊富な文化財がある。雄大な「万里の長城」、広大な「紫禁城」、あるいは「颐和園」「北海」「香山」「天壇」など、美しい景色や荘厳な建物を見学していると時間が経つのを忘れるほどである。古来からの文化や人物に興味があれば、故居が数多くあり、京劇などを鑑賞することもできる。また、中国の政治、経済、科学技術、軍事などの各分野の発展を知りたい場合は、数百もある博物館などを見学することもできる。自然景観を楽しみたければ、北京近郊の山河を訪ねるのもお勧めである。

 現在、北京で有名な観光地は「故宮」、「天壇」、「明の十三陵」、「颐和園」、「八達嶺長城」、「北海公園」、「景山公園」、「圓明園」、「香山」、「中華民族園」、「北京動物園」、「北京植物園」など。その他にも、「国家博物館」、「中国美術館」、「首都博物館」などは展示品が豊富である。また、2008年北京オリンピックの会場となった「鳥の巣」と「水立方」も人気を集めている。北京を訪れる海外の観光客は後海、南鑼鼓巷、五道営などの観光地で北京の胡同(フートン)文化を楽しむことができる。

西安

 西安は陝西省の省都で、中国の西北部に位置している。西北内陸部および陝西省の政治、経済、交通の中心地である。

 また、歴史上、西安の知名度は他の都市とは比べものにならないほどで有名で、中国の六大古都(西安、洛陽、南京、開封、杭州、北京)の中でも最も早く都が置かれ、王朝が最も多く存在した。西周、秦、西漢、前趙、前秦、後秦、西魏、隋、唐の王朝がここに都を定め、千年にわたり古都西安が築かれた。これにより、中国の歴史に多くの影響を与えたことは、他の都市には例を見ない。

 西安は世界の四大古都でもあり、有名な観光地でもある。世界八大奇跡と言われている「秦の始皇帝の兵馬俑」は、臨潼区にあり、6000体あまりの兵馬俑は20世紀の最も偉大な発見と言われている。この他「大雁塔」、「碑林」、「華清池」、「華山」などの風景区もある。西安は特色ある軽食も多く、「羊肉泡饃」をはじめとする名産を味わうことができる。

ラサ

 ラサはチベット自治区の首府(区都)で、総面積29052㎢。ヒマラヤ山脈北部に位置し、年間を通じて晴天の日が多く、降雨量が少ないのが特徴である。高原気候で、年間平均気温は7.4℃。降雨量は7月~9月に集中し、年間平均降水量は500ml。年間日照時間は3000時間以上で「日光の城」とも呼ばれている。風光明媚な上に空気もきれいで、昼は暖かく、夜は涼しいため夏の避暑地にもなっている。

 また、ラサは「世界の屋根」と呼ばれている青海チベット高原にあり、海抜3600m以上で、気圧が低く、酸素の含有量は内陸部よりも平均で25%〜30%少ない。このため、初めて訪れる人は、頭痛や呼吸が乱れるといった高山病特有の症状が出ることがある。ラサに到着した初日は適度に休むと、症状も和らぐ。旅行のベストシーズンは4月〜10月まで。

 チベット語でラサは仙人が住む聖地という意味で、歴史も古く、宗教文化が色濃く残る場所である。市街地の主な観光地は「大昭寺」、「八郭街」、「ポタラ宮」など。

 

5.中国の魅力的な町(鎮)

 中国の各都市は歴史も古く、なかでも百年近くの歴史を持つ鎮と呼ばれる集落や、完全な状態で保存されている地方の小都市はとても魅力的である。例えば、雲南省の麗江は既に世界文化遺産に登録されており、小さな町の歴史や文化、古来からの集落の変遷の様子などが、多くの観光客を引き付けている。他にも周荘、鳳凰古城、陽朔、乌鎮、南浔、大理などが国内外の観光客に注目されている。

周荘

 周荘は中国東部の江蘇省にあり、蘇州から38キロに位置する。中国の著名な画家である呉冠中は「黄山には山河の美が、周荘には水郷の美がある」と称賛している。海外のマスコミも周荘を中国一の水郷の町と報道しているほどである。

 登湖、白硯湖、淀山湖、南湖などに囲まれ、30余りの大小さまざまな河川が流れている。家屋は川に沿って建てられ、古典的な庭など、素朴で安らぎを感じさせる佇まいを持っている。60%以上の家屋が明や清の時代に建てられたもので、0.4㎢しかない周荘には数百もの古典的な庭園と60余りのレンガ彫刻が施された門がある。また、14の古い橋があり、江南地区の典型的な「橋、水、民家」の古鎮である。この地の静寂な環境は、静かに本を読んだり勉学に励むのにとても良く、古代の役人試験である科挙の合格者を20数人輩出した他、多くの文人が文学、芸術などの面で功績を残すなど、この地の歴史に花を添えている。西晋の文学者・張翰、唐代の詩人・劉禹錫、陸亀蒙なども周荘の人である。

 周荘の主な観光スポットは全福寺、澄虚道院、沈庁、富安橋、迷楼など。

 位置的には、周荘は蘇州と上海の間にあり、交通の便も良く、上海、蘇州から直行バスもある。上海からはとても近く、日帰り観光も可能である。そのため周荘には高級クラスのホテルが少なく、普通のホテルもそれほど施設は整っていないが、衛生面は比較的良好である。

鳳凰古城

 鳳凰古城は中国中部、湖南省の西にあたるトチャ族ミャオ族自治州に位置し、ニュージーランドの作家・ルイアイリは「中国で最もきれいな古鎮の1つ」と称賛している。清の康熙皇帝の時期にでき、ここには大通りが1本しかない。

 また、鳳凰古城は新区と旧市街に分けられ、山に沿って広がる旧市街には沱江も流れており、水も豊かである。南華山にある古い城楼は清の時代に建てられたもので、北の城門の下を流れる川は、人がすれ違うのもやっとという狭い木の橋がかかっている。この橋は昔、城門を出る唯一の通路であった。

 中国の現代作家・沈从文の故郷としても有名で、古城内の石畳の路地に故居がある。青いレンガ、白い壁、木の格子窓など文化的な息吹が漂っていて、建物は北京の小さな四合院に似ている。彼の作品の多くは鳳凰古城を描いており、少女の切ないラブストーリーや風習、純粋な人情など描いた最も有名な小説『辺城』は、ここが舞台である。この他、有名なのは、鳳凰八景と呼ばれる「東嶺」「南華」「寺の鐘」「龍譚漁火」「美しい嶺」「小道の木こり歌」「梵閣の波」「渓橋の夜の月」などである。交通アクセスは、まず飛行機で湖南省の吉首市に入り、そこからバスや車を利用する。

 

6.中国の料理

 中華料理は多くの系統に分けられる。その内、代表的なものとして社会的に認められているのは、山東(魯菜)、四川(川菜)、広東(粵菜)、福建(閩菜)、江蘇(蘇菜)、浙江(浙菜)、湖南(湘菜)、安徽(徽菜)で、"中華八大料理"と言われている。

 中華料理の系統は、長い歴史、こだわりの調理方法と切り離して語ることはできない。またその地方の地理的、気候的条件、特産食材、飲食習慣などの影響も受けている。

 八大料理は擬人化して表現されることがある。江蘇、浙江料理は清楚な江南美人、山東、安徽料理は古風で純朴な北方の男性、広東、福建料理は風流優雅な貴公子、四川、湖南料理は知識や才気あふれる紳士と表現されている。

 中国八大料理

 山東料理

 系統 :済南、膠東両地方の料理が発展したものである。

 特徴 :味は濃厚で、ネギとニンニクを多用し、とくに海鮮、コンソメと動物の内臓などの調理法に長じている。

 名料理:油爆大蛤(ハマグリの殻つき炒め)、红烧海螺(巻貝の煮込み)、糖酢黃河鯉魚(黃河の魚の甘酸あんかけ)

 四川料理

 系統 :成都、重慶両地方の料理に代表される。

 特徴 :多彩な味付け、濃厚なだし味が特徴とされる。

 名料理:宫爆鸡丁(鶏肉唐辛子炒め)、一品熊掌(熊掌)、鱼香肉丝(細切り肉の甘辛炒め)、干烧鱼翅(フカヒレのチリソース煮)、香辣炒蟹(蟹の唐辛子炒め)

 江蘇料理

 系統 :揚州、蘇州、南京の料理で構成されている。

 特徴 :調理法は煮込み、蒸し焼き、油炒めに長じる。

 煮汁など調理した際の汁を重視し、素材を生かした味付け。

 名料理:鸡汤煮干丝(干し豆腐のスープ煮)、水晶肴蹄(豚肉の煮凝り)、清炖蟹粉狮子头(蟹味噌の肉団子煮込み)

 浙江料理

 系統 :杭州、寧波、紹興などの地方料理を基にしたもので、中でも有名なのは杭州料理である。

 特徴 :淡白、香りと歯ざわりがよく、あっさりとした旨み。

 名料理:龙井虾仁(龍井茶と海老の炒め物)、叫花鸡(若鶏を泥に包み蒸し焼きにしたもの)、西湖醋鱼(西湖産の魚の甘酢あんかけ)

 広東料理

 系統 :広州、潮州、東江の三地方の料理で構成され、広州料理が代表的なものである。

 特徴 :ソテー、揚げ物、餡かけ、煮込みなどに長じ、味はすっきりと淡白である。また歯ざわりよく、材料の持ち味を重視する。

 名料理:三蛇龙虎凤大会(蛇、猫などの料理)、烧乳猪(子豚のあぶり焼き)、冬瓜盅(冬瓜を器にしたスープ)、古老肉(酢豚)

 湖南料理

 特徴 :香ばしく、酸味辛味が強く、しびれる様な辛さ。

 名料理:冰糖湘莲(蓮の実の氷砂糖煮)、红煨鱼翅(フカヒレ料理) 

 福建料理

 系統 :福州、泉州、アモイなどの地方料理で構成され、中でも福州料理が代表的。

 特徴 :海鮮が豊富で、酸味、甘み、塩味、旨みを引き出している。

 名料理:雪花鸡(鶏肉と卵のメレンゲ)、桔汁加吉鱼(魚のオレンジ煮)、太极明虾(エビ料理)、

 安徽料理

 系統 :主に長江沿岸、淮河沿岸、徽洲の三地方料理で構成され、中でも徽洲料理が代表的なものである。

 特徴 :ハム、氷砂糖による味付けや煮込みに長け、火加減を重視している。

 名料理:葫芦鸭子(キノコやもち米をダックに詰め瓢箪の形に整えたもの)、符离集烧鸡(鶏の丸揚げ)

 

7.四川料理

 中国八大料理のなかでも四川料理は最も分布が広い料理である。 川菜と呼ばれる四川料理は四川省の郷土料理で、長い歴史を持ち、独特な風味で国内外に知られている。

 独特の味を持つ料理で、色、香り、味、形にこだわり工夫され、料理の幅広さで知られている。味は主に「痺れる辛さ」「ピリピリした辛さ」「塩辛さ」「甘味」「酸味」「苦味」「香り」と七つの味があるほか、これらを組み合わせ変化に富んだ数十種類の独特の味もある。味の多さ、調理の妙で国内外でも評価の高い料理。「一つの料理が一つの風格を持ち、百の料理は百の味がある」と言われている。

 調理方法は、食材を生かし、気候や食べる人に合わせて具体的な料理を作る。炒める、あぶる、揚げる、焼く、塩漬けにする、塩水に調味料を加えて煮る、短時間で炒める、漬け込む等30種余りの調理法がある。

 また、社会の発展と経済の繁栄にともない四川料理も本来の形を基に、南方や北方料理の長所および古来からの家庭料理の優れたところを吸収し、北方料理の四川風、南方料理の四川風という味も確立し「食は中国にあり、味は四川にあり」と言われるほどになっている。

 四川料理は味の変化を非常に重視しており、味の濃さの違いだけでなく、薄さの違いもある。唐辛子、山椒、胡椒は欠かせないもので、唐辛子の使用方法をとっても沢山ある。食材として使われるほか、調味料としても使われる。幅広い味は様々な変化があり、お客の好みだけでなく、気候によっても異なる。例えば、冬や春などの寒い時期は辛さがたっぷり必要で、夏や秋の暑い時期には、辛さを弱める。この料理の最も特筆すべきところは味がハッキリしていることである。濃い場合は濃く、薄い場合は薄く、濃さの中に薄さがあり、薄さの中に濃さがある。濃い味でもしつこくなく、あっさりしていても薄くはない。この厚みのある味は、食べた人を魅了し忘れがたく、絶賛される。

 

8.中国旅行でのビザ

 中国旅行の第一歩として、ビザ取得は非常に重要である。外国から中国へ来る前に、所在国にある中国大使館や領事館で旅行ビザを申請する必要がある。

 2013年9月から新たな規定が実施され、ビザはC、D、F、L、G、J、M、R、Q、S、X、Zの12種類に分けられ、就労、留学、訪問、旅行、通過、乗務、記者、親族・知人訪問などである。そのうち、Lビザは観光ビザで、団体で観光する際には、「団体L」のビザが発行される。

 9人以上から団体として「団体旅行ビザ」の申請ができる。2013年10月1日から実施された中国旅行法には、観光客は違法滞在してはならず、団体観光客は団体を離れてはいけないことが定められている。

 深圳、珠海、厦門などの経済特別区に行く場合、直接これらの地区のビザ申請機関で「特別区旅行ビザ」が申請できる。海南省を観光する場合、滞在期間が15日間を超えなければ、臨時に海口、或いは三亜で入国ビザを取得できる。香港にいる外国人が団体で深圳を旅行する場合、72時間以内ならばビザは必要ない。

 チベット自治区では、交通、インフラ施設や接客能力などを考慮し、ここを旅行する際は確認書を必要とする。海外の団体がチベットを観光する際には、チベット自治区国際旅行社による手続きが必要で、10〜14日間の申請期間が必要。また、チベットで観光や登山をする海外の観光客は、自国が発行したパスポートと中国大使館が発行したビザが必要となるが、中国とノンビザ協定を結んでいる国の観光客はこれに含まれていない。この他、チベット山南、阿里、林芝、シガツェなどにある多くの村へ旅行する際は、辺防証が必要となる。また、アメリカ、カナダ、ロシアなどを含む45カ国の観光客は第3国のビザと航空券を持っている場合、北京、上海、広州、成都などの都市で72時間以内のトランジットビザ免除を受けることができ、指定行政区域内での活動が可能になる。旅行ビザを持つ外国人は必ず指定された外国人用の入国境審査を受けた後、入国することができる。

 パスポートと旅行ビザがあれば「外国人開放地区」へ旅行でき、中国政府は国内に滞在する外国人の合法的な権益を保護する。但し、ビザの範囲を超えた活動をしてはいけない。例えば、旅行ビザで、就労、宗教活動、違法取材などを行った場合、処分を受けることになる。また、中国の法律を遵守し、中国の風俗習慣を尊重しなければならない。

 もしビザの在留期間を超え、引き続き旅行したい場合は、現地の公安機関でビザの延期を申請できる。旅行終了後、延期したビザの有効期限までに出国検査を受け出国しなければならない。

 中国の新しい法律によると、最長滞在期間は180日間、就労と非就労の最短滞在期間は、それぞれ90日間と180日間で、最長滞在期間は5年までとされている。

 中国は各国からの観光客を心より歓迎する。しかし、入国後にビザの認定事項に合わない活動を行った場合、中国政府は国際慣例に基づき、当事者の再入国を許可しない。

 

9.中国での輸出入に関する注意

 中国に出入国する場合、必ず中国税関の規定を遵守しなければならない。手続きがスムーズに進み、よい旅ができるよう以下の事項に注意する。

申告

 旅客が次のような荷物を持って出入国する際は、税関に申告すること。

 課税対象となるもの、免税範囲を越える量を所有する場合、

 規定の範囲を超えているが旅行途中で必要な旅客個人用品、

 中国で輸出入禁止のもの、持ち出しに制限のある文化財、通貨、金銀類やその製品、印刷物、録音録画製品、商用物品やサンプル品、旅客荷物許可範囲を超えたもの。

レッド・グリーンライン

 申告の必要があり、納税や検査手続きをする場合は、レッドライン(赤色の申告検査台)へ。申告の必要のない旅客はグリーンライン(緑色の検査台)を選んで通関すること。

一般規定

 全ての荷物は、税関で検査を受ける。税関が許可しない荷物は受け取りや輸送をしてはいけない。

 別送した荷物も「旅客荷物申請報告」にはっきりと記入しなくてはならない。旅客の入国日から6ヶ月以内に輸送される場合、税関検査の上、手続きをする。

 税関の検査を経て、認証印が押された「旅客荷物申告報告」は、出入国手続きの際に必要な可能性があるため大切に保管すること。

 旅客が骨董品などの文物を持って出国する場合、必ず税関に申告しなければならない。旅客が文物の取り扱い営業証を持つ店(友誼商店など)から文物を購入した場合、税関は「文物古典籍輸出統一出荷証明」と中国文物管理部門の鑑定印章の有無により持ち出しを許可する。旅客が中国国内で他のルートで入手した文物、例えば、友人知人から贈られた骨董品などは事前に必ず中国文物管理部門の鑑定を受けなければならない。現在、北京、上海、天津、広州など8ヶ所の港に鑑定機構が設けられている。鑑定を経て持ち出しが許可された文物は、文物管理部門が発行する「輸出許可証明書」を取得できる。文物を輸出する場合、税関はこの「輸出許可証明書」で判断する。

 

10.衛生検疫での注意

 中華人民共和国衛生検疫局は中央政府が権限を与える外交にかかわる衛生検疫法律執行機関である。衛生検疫局および傘下の各国境衛生検疫機関は、出入国者に対し法に基づき衛生検疫を実施している。税関は衛生検疫機関が発行する特別品審査書によって通過を許可する。

 出入国者やその荷物に伝染病の恐れがある場合は衛生検査を受けなければならない。衛生検疫機関は、伝染病発生地からの入国者、或いは伝染病に汚染された各種の飲食物などに対して衛生処理或いは処分をし、衛生処理証明を発行する。税関はこの証明によって通過を許可する。

 黄熱病感染地区から入国する旅客は、必ず衛生検疫機関が発行する黄熱病予防接種証明書を提出しなければならない。証明書がない旅客に対しては、この旅客が感染地区を離れた日から数えて6日間の留置検査か、或いは予防接種を実施し、予防接種証明書が有効になるまで留置検査を実施する。

 出入国に関わる交通機関、旅客、食品、飲用水とその他の物品および昆虫、動物などは全て伝染病監督対象となる。

 衛生検疫機関は、エイズ、性病、ハンセン病、深刻な精神病、伝染性肺結核、或は公共衛生に重大な被害を及ぼす可能性がある伝染病を患う外国人の入国を禁止する。

 

11.中国での通貨

 中国の通貨

 中国の通貨は人民元で、中国人民銀行が発行する。人民元の単位は元、角、分とあり、1元は10角に相当する。額面は元が1,2,5,10,50,100、角の額面には1,2,5がある。分の額面は1,2,5。RMB¥と表記する。

 外貨両替

 中国で現在両替できる外貨は、英ポンド、ユーロ、米ドル、スイス・フラン、シンガポール・ドル、スウェーデン・クローナ、ノルウェー・クローネ、日本円、デンマーク・クローネ、カナダ・ドル、豪州・ドル、フィリピン・ペソ、タイ・バーツ、韓国・フォン、香港ドル、マカオ・パタカ、台湾・ニュー台湾ドルなど17種類がある。また、一部の中国銀行では韓国・フォン、ロシア・ルーブル及びインドネシア・ルピアの現金両替サービスも提供している。

 中国での外貨管理規定によると、中華人民共和国内では外貨の流通が禁止されており、外貨で決算してはいけないとなっている。中国に観光に来る外国人や香港、マカオ、台湾の同胞の便宜をはかるため、中国銀行およびその他の外貨指定銀行はトラベラーズ・チェックの取り扱い、国際クレジットカードによる人民元両替などを取り扱う。この他、上述の20種類の現金外貨の両替も取り扱っている。また、銀行以外にホテル、あるいは商店内でも両替サービスを行っている。両替した人民元が残った場合、出国前後6ヶ月以内有効の外貨両替書があれば人民元を持って出国できる。両替は、それぞれ、その都度レートが異なる。トラベラーズチェック、クレジットカードからの両替や、送金をする場合は購入価格のレートを使い、外貨を人民元に両替する場合などは売却価格のレートを使う。また人民元を現金外貨に両替する場合は、購入価格のレートを使用する。

 注意事項として、1日に両替できる金額は5000ドル以内で、口座残高、或は送金金額は50000ドル以内と制限されている。

 中国で利用可能なクレジットカード

 現在、中国で使用できる外国のクレジットカードは主に:マスターカード(Master Card)、ビザカード(Visa Card)、アメリカンエクスプレス(American Express Card)、JCBカード、ダイナースカード(Diners Card)である。