第一章:国土・資源・人口

一、国土

 

1、国土面積

 中華人民共和国(略称中国)は、アジア大陸の東部、太平洋の西岸に位置する。大陸部の面積は約960万平方キロで、アジアでは最大、世界でもロシア、カナダに次ぐ3番目の大国である。

 中国の領土は、北は漠河以北の黒竜江の中央(北緯53度30分)から南は南沙諸島南端の曾母暗砂(北緯4度)まで、緯度にして49度、約5500キロの広がりがある。また、東は黒竜江とウスリー川の合流地点(東経135度05分)から、西はパミール高原(東経73度40分)まで、経度にして60度、約5000キロの広がりがある。

 中国の陸地国境線の長さは約2万2800キロで、東は朝鮮、北はモンゴル、北東はロシア、西北はカザフスタン・キルギスタン・タジキスタン、西と西北はアフガニスタン、パキスタン、インド、ネパール、ブータンなどの国々と南はミャンマー・ラオス・ベトナムとそれぞれ隣接する。また、東部と東南部は海を隔てて韓国・日本・フィリピン・ブルネイ・マレーシア・インドネシアと向き合っている。

 

2、国旗、国章、国歌と首都

 国旗:

 中華人民共和国の国旗は五星紅旗で、縦横の比例が2:3である。旗の紅色は革命を象徴し、そこに輝く黄色い星は4つの小さい星の一つの角がそれぞれ大きな星の中心に向かっており、共産党の指導の下での革命人民の団結を象徴している。

 国章:

 中華人民共和国の国章には、国旗・天安門・歯車・穀物の穗がある。これは中国人民の『五・四』運動以来の新民主主義革命闘争と労働者階級の指導する労働者・農民の連合を基礎とする人民民主主導の新中国の誕生を象徴している。

 国歌:

 中華人民共和国の国歌「義勇軍行進曲」は1935年に劇作家の田漢が作詞し、中国の新音楽運動の創始者聶耳が作曲したものである。この歌はもともと映画『風雲子女』の主題歌であった。この映画は1931年9月18日、日本侵略軍が東北地区の満州鉄道を爆破した事件、つまり『九・一八』事変勃発後、中国の東北三省を日本侵略軍が占領したことで中華民族が存亡の危機に立たされた時、苦痛と彷徨から勇敢に抗日の最前線に赴いた人々の姿を描いたものである。この歌は、映画の公開と国家と民族を救う運動の展開に伴い全国に広がり、中華民族解放の進軍ラッパと言われた。

 1949年9月27日、中国人民政治協商会議第1回全体会議はこの歌を、中華人民共和国の仮国歌とすることを決めた。2004年3月14日、第10期全国人民代表大会第2回会議は憲法修正案を採択し、正式に『義勇軍行進曲』を中華人民共和国の国歌と決めた。

 『中華人民共和国の国歌』

 起て!

 奴隷となることを望まぬ人々よ!

 我らが血肉で築こう新たな長城を!

 中華民族に最大の危機せまる

 一人びとりが最後の雄叫びをあげる時だ

 起て! 起て! 起て!

 万人が心を一つにし、

 敵の砲火をついて進め! 敵の砲火をついて進め!

 進め! 進め! 進め!

 首都:

 中華人民共和国の首都は北京である。

 1949年9月29日、中国人民政治協商会議は、全国人民代表大会の職権を履行して『中国人民政治協商共同綱領』を全会一致で採択したと発表した。10月1日天安門で毛沢東主席が「中華人民共和国中央人民政府が成立した」と全世界に向けて厳かに宣言した。それ以来、北京は新中国の首都として中華民族の長い歴史の中に「新しいページ」を開いた。

 

3、領海と島々

 中国大陸の海岸線は、北は鴨緑江の河口から、南は広西チワン族自治区の北崙川河口まで、全長約1万8000キロある。海岸地域の地勢は平坦で数多くの優良な港に恵まれ、ほとんど1年中凍ることのない不凍港である。中国の近海は渤海・黄海・東海・南海という3つの大きな海区からなる。東部と南部大陸の海岸線は1.8万キロ。最大の島は面積約3万6000平方キロの台湾島、その次は面積約3万4000平方キロの海南島である。台湾島の北東海域に位置する釣魚島・赤尾嶼は中国の最東端の島嶼である。南海に散在する島嶼・サンゴ礁・砂州は一括して南海諸島と称され、中国最南端の島嶼群であり、その位置の違いによって東沙群島・西沙群島・中沙群島・南沙群島と称される。

 

4、地形と地勢

 中国は山が多く、山間地区の面積は全国の総面積の約3分の2を占めている。ここで述べた山間地区には山地・丘陵・高原が含まれる。陸地のうち山地が33%、高原が26%、盆地が19%、平原が12%、丘陵が10%を占めている。

 中国の地形は、数百万年前に青海・チベット高原が隆起した地球史上最も大きな地殻変動によって形成されたものである。空から中国の大地を見ると地勢は段階状を呈し、西から東へと徐々に低くなっている。インド大陸とヨーロッパとアジア大陸のプレートがぶつかり合うことによって、青海・チベット高原は絶えず隆起し、平均海抜が4000メートル以上に達する「世界の屋根」と呼ばれる中国地形の第1段階を構成している。高原地帯にあるヒマラヤ山脈の主峰・チョモランマ峰は標高8848メートルの世界最高峰である。第2段階は内蒙古高原・黄土高原・雲貴(雲南・貴州)高原・タリム盆地・ジュンガル盆地・四川盆地からなり平均海抜は1000メートル~2000メートルである。第2段階の東端の大興安嶺・太行山脈・巫山山脈・雪峰山脈を越えて東に向かって太平洋沿岸に至るまでが第3段階であり、この地勢は1000メートルか500メートル以下へと低くなっていく。ここには北から南へ東北平原・華北平原・長江中下流平原がある。これらの平原の縁には低い山と丘陵が嵌め込まれるようになっており、更に東へ向かうと中国大陸棚の浅海区つまり第4段階があり、水深は一般に200メートル以下である。

 

5、山脈

 高く雄壮な山脈が様々な方向に走って中国の地形の骨組を作り上げ、多くの山系を形成した。中国の有名な大山脈にはヒマラヤ山脈・崑崙山脈・天山山脈・タングラ山脈・秦嶺山脈・大興安嶺・太行山脈・祁連山脈・横断山脈などがある。

 ヒマラヤ山脈:中国とインド・ネパールなどとの国境に弓なりに分布し、長さは延べ2400キロあまり、平均海抜は6000メートルに達する世界でもっとも高く大きな山脈である。主峰チョモランマ峰の標高は8848メートルで、世界最高峰である。

 崑崙山脈:西はパミール高原から東は中国四川省西北部まで、長さは延べ2500キロあまり、平均海抜は5000~7000メートル、最高峰は公格爾山で海抜は7719メートルである。

 天山山脈:中国西北部新疆ウイグル自治区の中部地区を横断し、平均海抜は3000~5000メートル、最高峰・托木爾峰の海抜は7455メートルである。

 タングラ山脈:青海チベット高原の中部地区に位置し平均海抜6000メートル。最高峰グラダンド峰は海抜6621メートル、中国一の川・長江の源である。

 秦嶺山脈:西は甘粛省東部地区から東は河南省西部地区まで位置し平均海抜は2000~3000メートル。主峰である太白山は海抜3767メートル。中国南北の重要な地理的境界線の一つである。

 大興安嶺:北は中国東北地区の黒竜江省漠河付近から南は老哈川の上流まで、南北1000キロ、平均海抜は1500メートルに達し主峰黄崗梁は海抜2029メートルである。

 太行山脈:北から南に向かって黄土高原東部の縁を400キロあまり縦断し、平均海抜は1500~2000メートル、主峰小五台山の海抜は2882メートルである。

 祁連山脈:青海チベット高原東北部に連なる山脈。平均海抜は4000メートル以上、主峰の海抜は5547メートルである。

 横断山脈:青海チベット高原の東南部地区に位置し、チベット自治区・四川省・雲南省の3つの地区の交差する地域にある。平均海抜は2000~6000メートル、最高峰の海抜は7556メートルである。

 台湾山脈:台湾の東側を縦断し平均海抜は3000~3500メートル、主峰玉山の海抜は3997メートルである。

 そのほか、黄山・泰山・崋山・嵩山・衡山・恒山・峨眉山・庐山・武当山・雁蕩山などの有名な山々がある。

 

6、河川

 中国には流域面積が1000平方キロを超す河川だけでも1500本以上ある。河川は外地へ流れる川と内陸河川に分かれていて、海に流れ込む川の流域面積は全国陸地総面積の約64%を占めている。長江・黄河・黒竜江・珠江・遼河・海河・淮河などは東へ向かって太平洋に流れ込んでいる。チベットのヤルツァンポ川は東へ向かって国境を流れ出てから南のインド洋に流れ込む。この河には長さ504.6キロ、深さ6009メートルの世界一の大峡谷・ヤルツァンポ川大峡谷がある。新疆のエルティシ川は北へ向かって国境を出てから北氷洋に流れ込んでいる。内陸の湖に流れ込んだり、砂漠やアルカリ土壌地帯に消えてしまう内陸河川の流域面積は全国陸地総面積の約36%を占めている。

 長江:中国一の大河。アジアでも一番長い河で全長は6300キロ、アフリカのナイル川、南アメリカのアマゾン川に次ぐ世界3位の大河である。上流は高い山と深い谷を通り抜け、豊富な水力発電資源に恵まれている。長江はまた中国を西から東へ流れる水上輸送の大動脈であり、素晴らしい天然河川ルートに恵まれ、「黄金水上路」といわれている。長江中下流地区は気候が温暖・湿潤で降雨量も多く、土地が肥沃で中国の工業・農業が発達している地区である。

 黄河:中国第二の大河で、全長5464キロ。黄河流域は牧草地が豊かで自然も美しく鉱物が豊富であり、中国の古代文明の発祥地の一つである。

 黒竜江:中国北部の大河で、全長4350キロ。うち3420キロは中国領内を流れている。

 珠江:中国南部の大河で全長2210キロ。

 タリム川:新疆南部の中国で一番長い内陸河川であり、長さは2137キロである。

 天然河川のほか中国には有名な人工の川、つまり南北を貫く大運河がある。この運河は紀元5世紀頃から掘削が始まり、北は北京から南は浙江省の杭州まで海河・黄河・淮河・長江・銭塘江という5つの大河川をつないでいる。全長1801キロ、世界で最も早く掘削された、最も長い運河である。

 

7、行政区画体制

 中華人民共和国の憲法の規定によると、中国行政の区画には以下の3段階がある。

 (一)全国には省・自治区・直轄市が置かれる。

 (二)省・自治区には自治州・県・自治県・市が置かれる。

 (三)県・自治県には郷・民族郷・鎮が置かれる。

 自治区・自治州・自治県はいずれも民族自治地方である。

 国家は必要に応じて特別行政区を設立する。

 

8、省級行政単位

 現在、中国には省級の行政単位が合わせて34あり、その中には23の省・5つの自治区・4つの直轄市・2つの特別行政区が含まれる。

 4つの直轄市:

 北京:

 中華人民共和国の首都、「京」と略称される。華北平原の西北部に位置する。初めは「薊」とよばれ、春秋時代と戦国時代には燕の国の都となった。遼の時代には第2の都となり、燕京と呼ばれた。金・元・明・清・民国初めごろまでは都であり、前後して中都・大都・北平・北京などと呼ばれる。1928年に市を設立。現在14区・2県が置かれ中央直轄市となっている。全市の面積は1万6400平方キロ。2012年末現在、全市常駐人口は2069万人、戸籍人口は1297万人に達した。北京は中国の政治的中心であり、文化・科学・教育の中心と交通の中枢でもある。また世界でもよく知られる観光地で、主な名勝旧跡には万里の長城・故宮・天壇・十三陵・頣和園・香山などがある。

 上海 :

 「滬」と呼ばれる。中国東部海岸線の真中あたりに位置し、長江が海に流れ込む河口の近くにある。古くは漁村であった。春秋時代は呉国、戦国時代は楚国・春申君の封地で、宋の時代には鎮が設立され初めて上海と呼ばれた。1927年に市が設立された。現在は中国の4つの大きな直轄市の1つであり、16区と1県がある。市の全面積は6440平方キロ。2012年末現在常駐人口は2380万人、戸籍人口は1420万人。世界の大都市の1つであり、中国最大の工業都市・商業中心・金融中心・科学技術基地である。

 天津:

 「津」と略称され、華北平原東北地区の河川の5つの支流が合流して渤海に流れ込む。金・元の時代には直沽と呼ばれ水運で食糧を輸送する要所であり、その後海津鎮が設立された。明代初期天子の津の意味で天津と改名され、初めて衛が設置された。清代に天津府管轄下に置かれた。1928年に市が設立され、現在13区・3県が置かれ、中央の直轄市となっている。市の面積は約1万2000平方キロ。2012年末現在、常駐人口1413万人、戸籍人口は993万人。華北地区最大の工業都市で、石油・天然ガス・海塩など豊富な資源に恵まれ一定の工業技術の基盤を備えている。華北地区の重要な商業中心、港湾都市でもある。天津の名勝旧跡には寧園・天後宮・大沽口砲台・薊県独楽寺・黄崖関古長城・『京東第一山』と呼ばれる盤山風景区などがある。

 重慶:

 「渝」と略称。西南地区東部に位置し、長江の上流にある。春秋戦国時代には巴国だった。隋と唐の時代は渝州の管轄だった。抗日戦争時は国民党政府の臨時首都であった。1997年、四川省のの重慶・万県・涪陵という3つの地方クラスの市と黔江地区行政区を合わせて中央直轄市の重慶市が設立された。現在の重慶市には19区・19県がある。面積8万2400平方キロ、2012年末現在、市の常駐人口2945万人、戸籍人口は3343万人。総合的な工業都市で、長江山峡・枇杷山・縉雲山などの観光名所がある。

 23省 名前(略称):省都

 河北(冀):石家荘

 山西(晋):太原

 遼寧(遼):瀋陽

 吉林(吉):長春

 黒竜江(黒):ハルビン

 江蘇(蘇):南京

 浙江(浙):杭州

 安徽(皖):合肥

 福建(閩):福州

 江西(贛):南昌

 山東(魯):済南

 河南(豫):鄭州

 湖北(卾):武漢

 湖南(湘):長沙

 広東(粤):広州

 海南(瓊):海口

 四川(川)または(蜀):成都

 貴州(黔)または(貴):貴陽

 雲南(滇)または(雲):昆明

 陝西(陝)または(秦):西安

 甘粛(甘)または(隴):蘭州

 青海(青):西寧

 台湾(台):台北

 5自治区 名称(略称):首府

 内蒙古自治区(内蒙古):フフホト

 チベット自治区(蔵):ラサ

 広西チワン族自治区(桂):南寧

 寧夏ホイ族自治区(寧):銀川

 新疆ウイグル自治区(新):ウルムチ

 2特別行政区

 香港:

 中国は1997年7月1日香港に対する主権を回復し、香港特別行政区を設立した。香港は「港」と略称され、南海に臨む珠江河口の東側に位置し、広東省深圳川の南、香港島、九竜、新界および付近の島嶼が含まれる。総面積は1104平方キロ、2002年末現在の総人口は718万人。

 マカオ:

 中国は1999年12月20日マカオに対する主権を回復し、マカオ特別行政区を設立した。マカオは「澳」と略称され、珠江河口西岸の1つの半島に位置し、付近の氹仔島と路環島が含まれる。総面積29.9平方キロ、2002年末現在居住人口は59万人に達した。

 

9、土地資源

 中国の国土は広大であり、土地資源の類型は多様で、耕地・林地・草地・ゴビ沙漠・干潟などが分布している。しかし、山地が多く平野が少なく、耕地や林地が占める割合が少ない。各土地資源の分布は不均衡で、耕地は主に東部の平原地区と盆地地区に集中している。林地の大部分は東北や西南部の国境に沿った山間地区に集中している。草地は主に内陸の高原・山間地区に分布している。

 ◆耕地:

 中国には1億2100万ヘクタールの耕地がある。東部・西部・東部に分けると、耕地面積は東・西部には少なく、多くは中部地区に分布している。耕地は東北平原・華北平原・長江中下流平原・珠江デルタ地区・四川盆地に集中的に分布している。東北平原の大部分は肥沃な黒土地帯で、小麦・トウモロコシ・高粱・大豆・亜麻・ビートなどが栽培されている。華北平原の多くは褐色の土壤で、小麦・トウモロコシ・粟・高粱・綿花・落花生などが栽培されている。長江中下流平原では水稲・ミカン・アブラナの種子などが産出する。四川盆地では水稲・アブラナ・サトウキビ・茶・ミカン・ザボンなどがよく取れる。

 ◆森林:

 中国には現在1億9500万ヘクタールの森林があるが、森林被覆率は20.36%で森林が少なく、世界の平均と比べると大きく劣る。天然林は東北と西南地区に集中的に分布しており、人口の密度が高く経済が発達している東部平原および広々とした西北地区には非常に少ない。

 中国の森林は樹木の種類が豊富で、珍しい貴重な樹木には銀杏・アケボノ杉などがある。環境を保全し経済建設の需要を満たすために、中国は大規模な植樹造林活動を持続的に展開している。現在、人工森林の面積は6000万ヘクタールに達し、人工森林の面積が世界一大きい国となっている。

 中国の主要な森林地区:東北森林区=大興安嶺・小興安嶺・長白山地の森林区を含む東北森林区は中国最大の天然森林区である。

 西南森林区=横断山区・ヒマラヤ山麓・ヤルツァンポ川湾曲部などの森林区を含む西南森林区は中国第二の天然森林区域である。

 東南森林区=秦嶺から淮河の南、雲南貴州高原以東の広大な丘陵山区を含む東南森林区は中国で最も重要な人工森林地区である。

 そのほか中国には広々とした防護林体系がある。例えば、東北・華北・西北地区をカバーする防護林は『世界の最大の生態プロジェクト』と呼ばれている。

 ◆草地:

 中国には4億ヘクタールの牧草地がある。世界で最も草原面積の大きい国の1つである。中国の天然草場は主に大興安嶺から陰山を通って青海チベット高原へと続く東麓線より西北の広大な地区に分布し、人工草場は主に東南部地区の耕地や林地と交差して分布している。

 中国の放牧区は主に内蒙古であり、ここは中国最大の放牧区で三河馬・三河牛など有名な品種がある。新疆牧畜区で飼育されている優良家畜には新疆細毛羊・阿爾泰大尾羊・イリ馬などがあり、青海牧畜区では主にヤクや河曲馬が知られており、チベット牧畜区はヤクの主要産地である。

 

10、鉱物資源

 中国には豊富な鉱物資源があり、アメリカとロシアについで世界3位である。これまでに発見された鉱物の種類は172種で、そのうち埋蔵量が判明している鉱物は159種、うち20数種類の埋蔵量は世界でもトップレベルだが、一人当たりの保有量は少ない。

 中国の鉱物資源の分布情況は次の通りである。

 石油・天然ガス:主に東北・華北・西北地区

 石炭:主に華北・西北地区

 鉄:主に東北・華北・西南地区

 銅:主に西南・西北・華東地区

 鉛・亜鉛:全国の至る所に分布している

 タングステン・錫・モリブデン・アンチモン・希土などの鉱物:主に華南・華北に分布

 金・銀:全国的に分布しており、台湾も重要な産地である

 リン:主に華南地区に分布している

 主要な鉱物資源:

 ◆石炭:埋蔵量は世界一。判明している石炭の埋蔵量は1兆3778億トンで、主に華北・西北地区に分布し、山西省・陝西省・内蒙古自治区などに豊富な埋蔵量を持つ。

 ◆石油・天然ガス:主に西北地区に多くの埋蔵しており、続いて東北・華北・東南部沿海の大陸棚にある。2012年の中国国土資源公報によると、2011年末までに判明している石油・天然ガスの埋蔵量はそれぞれ32.4億トン・4兆立方メートルとなっている。

 金属鉱産物:

 ◆鉄などの金属:埋蔵量が判明しているのは、鉄・マンガン・バナジウム・チタニウムなど。そのうち鉄鉱の埋蔵量は743.9億トンで主に遼寧省・河北省・山西省・四川省などに分布している。

 ◆非鉄金属:世界で発見された非鉄金属鉱はすべて中国にもあり、そのうち希土類・アンチモン・タングステンの埋蔵量は世界で上位を占める。

 

11、風力・水力・太陽エネルギー・バイオマスなど

 ◆水力:

 水力エネルギーはクリーンで再生可能なエネルギーであり、関連技術は成熟していてコストが低い、柔軟に運用できるなどの特徴があり、世界各国はエネルギー建設で水力発電を優先している。

 中国は豊富な水力資源に恵まれている。技術的に開発できる水力エネルギーは5.42億キロワットで世界一である。水力資源はほとんど西南部の4省・市とチベット自治区にあり、そのうち長江水系が最も多い。その次はヤルツァンポ川水系で、黄河水系と珠江水系にも大きな水力資源がある。現在、水力発電を展開している地域は、長江・黄河・珠江の上流に集中している。

 統計によれば2012年末まで中国の水力発電設備の発電容量は2億4890万キロワットで、電力設備発電容量の22%を占めている。中国は2020年までに非化石エネルギーの消費割合を15%にするという目標を実現するため半分以上を水力発電にする必要がある。生態環境を保護し、ダム建設による移民問題を円滑に解決することを前提に、中国は水力発電の開発と現地住民の雇用、現地の経済発展を結びつけている。2015年までに水力発電設備の発電容量は2.9億キロワットになる。

 ◆太陽エネルギー

 太陽エネルギー発電は新しい再生可能なエネルギー技術で、現在産業化されている技術は太陽光発電と太陽熱発電である。

 中国は豊富な太陽エネルギー資源に恵まれており、太陽エネルギー発電に適する国土の面積や建築物の受光面積も多い。チベット高原・黄土高原・冀北高原・内蒙古高原など太陽エネルギー資源が豊富な地域が陸地面積の3分の2を占めるため、太陽工エネルギーを大規模に開発する潜在的可能性がある。

 東北地域・河南省・湖北省・江西省などの中部地域、また河北省・山東省・江蘇省などの東部沿海地域が太陽エネルギー資源が比較的豊富で、太陽エネルギーを利用できる建築物の受光面積も大きい。四川省・重慶市・貴州省・安徽省・湖南省など太陽エネルギー資源が総体として普通の地域でも、局地的には太陽エネルギーの利用開発に適しているところが多い。

 最新統計によれば2012年末までに中国では太陽光発電設備据付容量は650万キロワット、太陽エネルギー湯沸かし器の蓄熱面積は2億5800万平方メートルに達している。国家エネルギー局の計画によれば、2015年末までに太陽光発電設備据付容量は2100万キロワット以上となり、太陽エネルギー蓄熱面積は4億平方メートルになる見込みである。

 ◆風力エネルギー

 風力エネルギーは空気が流れるときに生まれるエネルギーで、再生可能なエネルギーの一つである。中国は風力エネルギーが豊富で、多くの地域に分布している。豊富な風力エネルギー資源は主に西北・華北・東部の草原・ゴビ砂漠・東部と東南沿海・島嶼に分布している。

 風力は、現在大規模に開発・市場化できる再生可能エネルギーである。2009年以降、中国で新しく増えた風力発電設備据付の容量は世界1で、2012年末までに送電ネットワークに組み込まれた風力発電ユニットは6300万キロワットとなった。風力発電設備の製造能力は急速に伸び、1.5メガワット以上の技術の各種規格のユニットと主要な部品の製造能力を備え、陸地と海上風力発電の開発ニーズが満たされている。

 中国国家エネルギー局が2012年公布した「第12次5ヵ年計画における再生可能エネルギー発展計画」によれば、2015年までに送電ネットワークに組み込まれる風力発電ユニットは1億キロワットに達し、年間発電量は1900億キロワットを超え、そのうち海上風力の発電ユニットは500万キロワットになる。

 ◆バイオマス資源

 ここ数年、国際的なエネルギー需給の格差や世界気候変動などの難問に対応するため、化石燃料の代わりにバイオマスを発展させる国がますます増えている。これらの国はエネルギーの安定供給を保障するため、バイオマスの開発と利用を進めている。

 現在、世界で技術が成熟し一定規模で開発されているバイオマスの主要な利用方法は、バイオマス発電・バイマス液体燃料・メタンガス・バイオマス成形燃料などである。中国はバイオマス資源が豊富で、主要なものは農作物のわら・農産物加工後の残滓・森林伐採後の残滓と葉・木材加工後の残滓・動物と家禽類飼育後の糞尿・都市部の生ゴミ・生活汚水・工業有機廃棄物と高濃度有機排水など。

 中国ではエネルギーとして利用できるバイオマス資源の量は毎年約4.6億トン標準炭ある。2012年末までに各種バイオマス資源の年間使用量は、3000万トン標準炭となり、また約4.3億トンがエネルギーとして利用できるようになった。経済と社会の発展、エコ文明の推進と農林業の更なる発展に伴って、バイオマスエネルギーの使用ポテンシャルがさらに広がっている。

 

12、植物の種類と分布

 中国は世界でも植物資源が最も豊富な国の1つであり、高等植物だけで、も3万2000種類以上がある。北半球の寒帯・温帯・熱帯に広がる主要な植物はすべて中国に存在する。中でもアケボノスギ・ミル・セカイヤオスギ・コウヨウザン・イヌカラマツ・台湾スギ・福建コノテガシワ・トチュウ・ヌマミズキなどは中国独有の植物である。ケボノスギは大きな喬木で、世界でも珍しい貴重な植物である。イヌカラマツは長江流域の山間地区に見られる。世界の五大庭園で植えられている珍しい貴重な樹木の1つである。

 中国の食用植物は2000種以上、薬用植物は3000種以上あり、長白山の人参・チベットの紅花・寧夏のクコ・雲南と貴州の三七などはいずれも貴重な薬材である。また花卉植物の種類も多く、「花の王」と呼ばれるボタンは中国の固有種で、中国の国花の一つとされている。

 中国の森林は気候帯の分布に基づき、北から南に向かって寒帯温帯針葉樹林・温帯針葉樹と広葉樹の混合林・温帯落葉樹林と針葉樹林・亜熱帯常緑広葉樹林と針葉樹林・熱帯季節多雨林・多雨林が広がっている。そのうち亜熱帯森樹林は生物多様性と重要性において世界の同じ地帯でもほとんど見られない貴重なものだ。

 

13、動物の種類と分布

 中国は世界でも野生動物の種類が最も豊富な国の1つである。脊椎動物は6200種以上生息し、そのうち陸棲脊椎動物が2400種以上、魚類が約3800種類で、世界の脊椎動物種の10分の1を占めている。

 中国の大部分の地区は第三紀と第四紀の大陸氷河の影響を受けていないことから、固有の動物が数多く生息している。中国固有の陸棲脊椎動物は約500種存在し、中国の陸棲脊椎動物種の20%近くを占めている。ジャイアントパンダ・キンシコウ・華南トラ・ミミキジ・タンチョウ・トキ・ヨウスコウカワイルカ・ヨウスコウワニなど100種以上の中国にしか生息しない珍しい野生動物がいる。

 ジャイアントパンダは体重が135キロにも達する大型の哺乳動物で、やわらかいタケとタケノコを主食とする。野生パンダは現在世界でも1600頭ほどしか生息していない極めて珍しい動物で、世界の野生動物保護のシンボルとなっている。タンチョウは体長が1.2メートルに達する大型のツルで、白い羽で頭に赤い肌が露出しているため、東南アジア地区では「長寿」の象徴とみなされている。ヨウスコウカワイルカは世界でわずか2種類しかいない淡水クジラの1つで、1980年に初めて長江で雌のヨウスコウカワイルカが捕獲され、世界のイルカ研究界で大きな注目を集めた。

 中国の動物分布は東北・華北・内蒙古新疆・青海チベット・西南・華中・華南の7地区に分けることができる。各地区の地理条件が異なっており、各種の異なる類型の動物が生息している。

 

14、人口の現状

 中国は世界で一番人口の多い国である。中国国家統計局が発表した『中国2012年国民経済と社会発展統計公報』によると、2012年末までに大陸部の人口は13億5404万人となり、2011年に比べて669万人増えた。2012年に1635万人が生まれ、出生率は12.1‰、死亡人口は966万人、死亡率は7.15‰、自然増加率は4.95‰である。出生人口の男女比は117.7である。15歳未満の人口は2億2287万人で総人口の16.5%を占め、前年末に比べて0.01%増え、15歳以上60歳未満の動労年齢人口は9億3727万人、前年比345万人の減少で総人口の69.2%だったが、前年末より0.6%上がった。60歳以上の人口は1億9390万人、総人口の14.3%を占め、前年末に比べて0.59%上がった。

 中国大陸部の人口が世界人口に占める割合は引き続き下がり、2002年の20.3%から2012年は20%以下に下がった。これは世界人口の健全な発展に積極的に寄与している。東部・中部・西部を地域別に見れば、依然として「東が多く西が少ない」という人口構造が継続しており、西部地域の人口増加は中部地域よりやや速い。

 人口の平均寿命は、健康水準を総合的に反映する基本指標である。中国の社会と経済の急速な発展に伴って、国民の生活レベルも絶えず向上し、医療衛生保障体制が徐々に整備されて、中国の平均寿命は引き続き延びている。第6回全国人口調査の結果によれば、2010年の中国の平均寿命は74.83歳となり、10年前より3.43歳上がった。2010年の世界の平均寿命は69.6歳で、そのうち高所得の国・地域は79.8歳、中レベルの所得の国・地域は69.1歳である。中国の平均寿命は、中レベルの所得の国・地域のレベルを遥かに超えており、世界の平均水準も超えている。しかし、高所得の国・地域より5歳近く低い。現在、中国は関連の戦略と計画を推進しており、2020年までに中国人の平均寿命は77歳になる見込みだ。