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弁論大会の会場 |
入賞の弁士たち |
先月25日、天津で行われた「第3回中日友好の声全中国日本語(1)弁論グランドチャンピオン大会」を取材してきました。午後1時ごろから5時間ぐらいかけて、全国から集った26人の大学生の日本語によるスピーチを聞きました。一人一人が終わるたびに、北京放送のスタッフに負けないほどの日本語力を持っていることにびっくりし、「今時の大学生の日本語のレベルって、たいしたものだね」と強く感心させられました。
これらの大学生は、北京、天津、上海のほか、東北のハルビン、吉林、遼寧、東部の江蘇 中部の華北、湖南、河南、西部の陝西、西南部の四川などの大学で日本言語や文学を専攻する2年生と3年生です。「2008年北京オリンピック」というテーマをめぐって、大学生たちは、オリンピックを窓口にし、中国の文化などを外国人に理解してもらう、オリンピックを通じて、(2)痰を吐くなどの悪い習慣を捨てよう、万里の長城などの遺跡で落書きをする行為をなくそう、自然環境を改善しようなど、思い思いに訴えました。それに、スチュワーデスの真似、手話、自ら書いた五輪の(3)マスコットの漫画など、いろいろなパフォーマンスを工夫しました。会場を埋めた500人の観客を釘づけにしました。
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優勝した北京外国語大学の葉卿雲 |
順番を待っている弁士たち |
80年代に日本言語文学の専攻を卒業した私にとって、皆さんの日本語力は、大変なものでした。第一に、発音やイントネーションは、外国人とは思えないほど、正確で、自然でした。いまだに、日本語部にいる日本の(4)プロのアナウンサーに教わり、いまだにアクセントや言葉の流れで、悪戦苦闘している自分のことを思って、(5)冷や汗を流してしまいました。後ろから押し寄せてくる波の強さを感じ、緊張感が沸いてきました。
審査員の一人並河信乃さんは、「今までのコンクールでは、発音やアクセントで採点ができたが、今回は、そのやり方が通じず、内容や個性、会場の盛り上がり具合で判断するようになった。甲乙をつけるのに疲れた」と、今回の感想を述べました。
また、天津外国語大学の修剛学長は、50代で、日本語がぺらぺらです。私の心配を聞いた後、「今の日本語教育は、1990年代までの日本語教育理念とぜんぜん違います。つまり、発音や文法を重視するだけではなく、日本の政治、経済、歴史、文化をも身につけるようにしています。さらに、会社や組織に入ってすぐ役立つ即戦力の養成にも力を入れるようになっています。例えば、カリキュラムに日本のニュースを読むレッスンや、通訳教室などを取り入れています」と紹介してくれました。
コンクールから随分日が経った今でも、弁士たちの顔がありありと私の目の前に浮かび、日本人並みの日本語が耳に響いています。日々の仕事に励まないと、まもなく押し寄せてくる波に呑み込まれてしまうと、思わせられています。
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