現地時間の11日午後、ニューヨークの国連本部で開かれた安保理会議で、中国、ロシア、南アフリカなどはアメリカが主導したジンバブエへの制裁決議案を否決しました。
アメリカは、ジンバブエへの武器輸出を禁止し、ムガベ大統領とその政権幹部の資産凍結と渡航禁止を求め、また、野党との対話およびAU・アフリカ連合と国連の仲介を受け入れるようムガベ政権に要求しました。
この制裁案に対しては、中国、ロシア、南アフリカのほか、リビアとベトナムも反対し、インドネシアは棄権しました。
この投票結果に対し、アメリカのハリルザド国連大使は失望を表し、「これからはジンバブエ情勢を見極め、与野党間の交渉推進で国連事務総長特使の任命を促していく」と述べました。
しかし、反対票を投じた各国の大使はいずれも、「ジンバブエ与野党間の交渉についてはアフリカ連合と南部アフリカ共同体が仲介を行っている。したがってこの制裁は交渉推進にとってはマイナスである」との見解を示しました。
中国の王光亜国連大使は「対話は最善の策であり、脅威や制裁の行使は紛争解決にはプラスにはならない。ジンバブエ情勢はその内政であり、世界の平和と安全保障にとって脅威になってはいない。与野党間の交渉が始まったという敏感な時期に、安保理で制裁案が採決されれば、交渉進行が撹乱され、情勢も一段と悪化するだろう」と指摘しました。
王光亜大使はまた、与野党双方が冷静と自制を保ち、力行為を停止し、地域機関や国際機関の仲介に協力していくよう、ジンバブエ各派に期待しました。
ところで、今回の制裁案の否決は安保理の権限を巡る理事国間の見解の食い違いを暴露しました。
ここ数年、アメリカとその盟友の主導により他国の内政に干渉する決議案が度々提出されています。
これについてロシアのチュルキン国連大使は「ジンバブエ情勢は世界の平和と安全保障を脅かしておらず、この制裁案が提示した国連憲章第7章の"平和に対する脅威、平和の破壊および侵略行為に関する行動"は根拠にならない」と指摘しました。
また、南アフリカのクマロ国連大使は「アフリカの問題はアフリカ人によって解決されるべきである。この制裁案は野党支持と与党批判という鮮明な立場に立っていることから、交渉推進にとっては不利である。ジンバブエの与野党が10日、プレトリアで交渉を始めたが、当面、ジンバブエが必要としているのは、制裁などの圧力ではない」と強調しました。
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