オーストラリアのケビン・ラッド(中国名:陸克文)首相は、先月下旬からアメリカ、ベルギー、ルーマニア、イギリス、中国5カ国に対する訪問を行っています。
オーストラリアとアメリカは第2次世界大戦から同盟関係を維持しており、安全保障、経済、科学技術などの分野で両国は密接な協力を行っています。
ラッド首相はアメリカとの同盟関係を最重要視し、ワシントンでこの関係の重要性を改めて強調しました。
一方、ラッド首相は温室効果ガスの排出削減目標を定めた「京都議定書」に批准し、イラクから550人規模の部隊を撤退することを決定したとする自国の立場を表明しました。
アメリカ訪問期間中、ラッド首相はニューヨークの国連本部を訪れ、パン・ギムン事務総長と会談を行いました。
ベルギーを訪問期間中、ラッド首相はブリュッセルのEU本部で指導者会談を行い、また、ルーマニアのブカレストで開かれたNATO・北大西洋条約機構の首脳会議に出席しました。
ラッド首相はさらに、中国を訪問する際、海南省のボアオ市で開かれたアジアフォーラムに出席しました。
イギリス訪問でラッド首相はイギリス連邦諸国との関係強化を表明し、労働党政府による外交の多角化を示しました。
国連本部でラッド首相は多角的な外交による国威発揚に伴い、温暖化対応、貿易、安全保障などの協力で国連を支持し、その重要性を重視しなければならないとの立場を表明しました。
北京大学でラッド首相は流暢な中国語で講演を行い、中国を含めたアジア諸国への重視を示しています。
ラッド首相は「中国とは深くて、長期にわたる真摯な友情を構築していく」と述べました。
ラッド首相は中国との貿易拡大に大きな期待をもっており、両国間の自由貿易協定を協議し、国内から大規模な産業代表団が随行しています。
去年、中国はオーストラリアの最大の貿易パートナーとなり、両国は資源、農業、観光、教育、科学技術、サービスなどの分野で密接な協力を展開しています。
ここ数年、中国への鉄鉱石輸出でオーストラリアは大きな利益を得ています。
サブライムローン・低所得者向け住宅ローンが破綻して以来、アメリカとEUからの投資はマイナス成長を続けています。
そのため、中国との長期的で安定した経済関係はオーストラリアにとって一層重要になっています。
ただ、ラッド首相の今回の主要国訪問で日本は日程に含まれておらず、批判を受けています。
ラッド首相は7月北海道で開かれる主要国会議で日本首相と会談することを発表し、第2の貿易パートナーへの重視を示しています。
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