アメリカの交響楽団ニューヨーク・フィルハーモニックが25日、韓国のアシアナ航空を利用して、北京から朝鮮の平壌に向かいます。その後、平壌で3日間にわたって公演を行いますが、アメリカのメディアは、これは、朝鮮に対する初めての重要な文化的な訪問で、現代のクラシック音楽史上、最も政治的な意味を持つ公演の一つであると見ています。アメリカと朝鮮はまだ国交を結んでいないため、今回の公演が、アメリカと中国の「ピンポン外交」と同じような効果をもたらすのではないかと、各国から注目されています。
ニューヨーク・フィルハーモニックの公演は26日の午後6時、平壌の東平壌劇場で行われ、その様子は、朝鮮の中央テレビ局によって初めて全国に生中継されます。ただし、劇場に朝鮮の最高指導者のキム・ジョンイル(金正日)氏が姿を現すかどうかはまだ明らかにされていません。
今回の公演について、ニューヨークフィルハーモニックの指揮者ロリン・マゼール氏は、朝鮮半島の緊張緩和と恒久的な平和の実現に建設的な役割を果たすことができればよいと期待を示しました。また「音楽は、国境がなく、党派もない。政治思想と関係のない全人類共通の言語である」と述べ、「朝鮮とアメリカが今回の公演を通じて、相互理解を深めるよう期待している」と語りました。
また、アメリカの政府関係者は、アメリカと朝鮮の文化面での境界線を突破し、両国の距離を縮めるほか、朝鮮の対外開放の促進にも一役買うことを期待していると述べました。
アメリカのブッシュ大統領が2006年の中間選挙で敗北した後、朝鮮政策を調整したのに応じて、朝鮮も柔軟性のある態度を取るようになりました。両国は一連の対話を通じて、緊張を緩和させ、相互信頼を深め、朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議でも大きな進展を遂げました。朝鮮は、ニョンビョン(寧辺)の核施設を封印し、無能力化を進めています。また、ブッシュ大統領は、朝鮮の核開発の完全な放棄を促すため、去年12月、キム・ジョンイル氏に初めてメッセージを送りました。こうした背景のもと、両国は文化交流の準備を進めてきました。アメリカの交響楽団が朝鮮で公演を行うのに続き、朝鮮も今年、楽団や雑技団をアメリカやヨーロッパに派遣する予定だということです。
朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は現在、朝鮮とアメリカの間で核計画の申告問題で意見の食い違いがあり停滞しています。また、アメリカでは今年、大統領選挙が実施されますが、それによって誕生する新しい政府が朝鮮に対してどんな態度をとるかを、朝鮮は注意深く見守っています。したがって、両国の緊張緩和の歩みが遅くなる可能性が見え始めました。しかし、これについて韓国のメディアと専門家は、ニューヨークフィルハーモニックの平壌公演が、朝鮮とアメリカの相互信頼と緊張緩和に重要な役割を果たすとともに、政治や軍事における2国間関係を切り開く契機となるだろうと見ています。(翻訳:鵬)
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