パレスチナの民族連立政権が17日、ガザとラマラで、それぞれ正式な就任式を行い、内閣が発足しました。
新しい連立政権は、パレスチナ国民に希望をもたらすとともに、様々な課題を抱えています。
パレスチナの新連立政権が発足した後、イスラエルとの関係は、どうなるのでしょうか、また、中東和平は果たして実現できるのでしょうか。この点が、国際社会から非常に注目されています。
これについて、パレスチナ自治政府のアッバス議長は17日の立法委員会の会議で、交渉を通じて、イスラエルとの間の和平を実現していきたいとの考えを示し、「我々はいかなる条件や制限をつけずに、イスラエルと交渉し、平和と公正の道を歩んでいきたい。これがイスラエル人民と政府に伝えたいメッセージである」と述べまし た。
しかし、一方で、イスラム原理主義組織、ハマスの指導者であるハニヤ首相は当日の就任式で、イスラエルの占領には、抵抗しなければならないとの意向を表明し、「イスラエルとの様々な形の戦いは、パレスチナ人の合法的な権利である。これは新政権が明確にしておかなければならない点だ」 と述べました。
ただ、強硬派のハニヤ首相の態度は以前と比べて、少し穏健となりました。例えば、ハニヤ氏は、イスラエルとの停戦範囲を拡大したり、イスラエルの承認を含むファタハとイスラエルの過去の合意を尊重するとの考えを示しました。ただ、ファタハを率いるアッバス議長とハマスのハニヤ首相、この二人の指導者の発言からみれば、両党の間には依然として、意見の食い違いが存在していることが分かります。
新連立政権にとって、政治的な食い違いや安全面での圧力以外に、財政危機をいかに解決するか、といったことも非常に大きな課題です。
これについて、パレスチナのファイヤード財務相は、「財政再建が政府の主要任務である。それには、国際社会の援助がなければ、新連立政権が存続できない。財政システムを効果的に運行するため、あらゆる援助を得られるよう全力をあげて国際社会と接触していく。」と語りました。
しかし、財政危機を解決するには、まず、イスラエルと国際社会から認められなければなりません。
EU・欧州連合の今の議長国であるドイツは17日、声明を発表し、パレスチナの新連立政権の発足に歓迎の意を示すと同時に、今後とも支援していくとの立場を明らかにしました。
一方、イスラエルは、パレスチナの新内閣と接触することを明確に拒否しました。イスラエルのオルメルト首相の報道官は、「パレスチナの新政府はこれまでの政府と全く変わらない。ハニヤ首相がイスラエルとの戦いを支持した発言は『テロを認めた』ものであり、受け入れられない」と批判しました。
この他、アメリカもパレスチナ新政府の発足に慎重な態度を示しています。
しかし国際社会は、新連立政権の発足後、より多くの国際支援を得て、パレスチナ人の生活が大きく変わることを望んでいます。
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