今回の海賊版取締り活動は中国文化省、新聞出版総局、公安部、国家商工業総局などの多くの政府関係部門が共同で行っているもので、海賊版ビデオテープ、カセットテープの製造と販売などの不法行為の取り締まりを目的としています。河北省石家荘市は北京市から300キロ近く離れ、交通の要衝であることから、不法製品輸送の主要な流通センターとなっています。このため、ここで行われる海賊版取締り活動の成否は北京、天津などの周辺都市に重要な影響を及ぼすと見られています。

　検査チームが石家荘市の中心部にあるカセットテープ、ビデオテープの販売市場を検査しています。検査中、ある店で販売されているディスクのデータがはっきりしていないことから、海賊版の恐れがあることが分かりました。このことについて、新聞出版総局関係筋の王松さんは、「これらのディスクを細かくチェックしたのは、正規版と海賊版を区別するSIDコードが不明確で、じっくり見ないと、分からないからだ。このため、法的文書が残っているのかをチェックする必要があった。その結果、これらのディスクは法的文書がそろっている。帰ったら、さらにSIDコードの問題を研究する」

　海賊版取締活動が始まって以来、河北省の新聞出版と文化などの部門は、音楽とソフト製品の市場に対し以前より一層厳しい検査を行いました。9月4日まで、4900カ所の音楽ソフトやコンピューターソフトの商店が検査を受け、そのうち171カ所が営業停止の処分を受けました。検査員たちは9月4日、石家荘市清園街のある団地で、不法な音楽ソフトを販売している場所を強制に検査し、4万枚の海賊版デスクを没収すると共に、2人の容疑者を逮捕しました。

　しかし、このような大規模な取締りが行われることによって、不法な営業はより巧妙になってきました。9月6日午後、市民の通報を受けた捜査特別チームが地元の政府関係部門と協力して、石家庄市の西の郊外にある倉庫を捜査しました。200種類のＣＤとソフトウェアなど、合計4万枚の海賊版が見付かりましたが、持ち主は逃走しました。また石家庄市の中心部にある倉庫を捜査した結果、パッケージが見付かったが、海賊版は既に持ち去られていました。

　中国政府は海賊版の取り締まりに力を入れていますが、正規の製品はかなり高価で、一般市民の間で普及するのはまだ難しい状態です。このため、正規の製品のコストをさげ、普及させることが問題を解決する根本的な方法になります。石家庄市新聞出版局は現在正規版の製品を支援する計画を立てています。副局長の張秀芳氏はインタービューを受けた際、「指導と規制を取り入れている。これまでは摘発した後、しばらく経つと、海賊版がまた復活してしまったりした。それを根絶するため、今回は根本から力を入れることにした。政府の入札リストに登録した国内の企業に、組み込むソフトのコストを下げるように、指導した。海賊版の問題を解決するには、価格を下げることが必要だ。そのため、われわれは『共創』と『紅旗』という操作システム会社、『金山WPS』というオフィスソフト会社、『毒覇』というウィルス防止会社とも話し合った。この三つのソフトをワンセットとして100元、日本円にして1500円で販売することになった。これによって消費者にとっては手頃な値段になる」と語りました。

　大和広場は河北省の中心地である石家荘にあり、もっぱら電子製品を取り扱うショッピングモールです。今ここでは、石家荘市版権局が広めた国産パソコンソフトセットが、よく売れています。販売店や消費者は中国が自主開発したソフトを待っていたと評価しています。しかし、このソフトが広く認められるまでには、しばらくかかりそうです。数年間、ここに店を出している「羽日同輝科学技術有限会社」の陳暁輝社長は、「現在、私たちはお客さんに説明しているところです。LINUXという操作システムを使えば、国際的な大手会社の制限を受けずに済みます」と語りました。

　河北省著作権管理部門の責任者によりますと、市民の認知度を向上させ、使用習慣を変えるために、市内のコンピューター学校と連絡して、正規ソフトの使用を授業の内容に入れようとしています。これによって、市民が国産の正規ソフトへの支持率を上げることを目指しています。