公開中の映画「ゲド戦記」について批判的な「感想」を原作者のアーシュラ・K・ル・グウィンさん(76)=米国在住=が自己のホームページに掲載し、話題を呼んでいます。
「ゲド戦記」は、68年~01年にかけて出版された全6巻のファンタジー。多島世界アースシーを舞台に、魔法使いのゲドや王子アレンが、世界の均衡を回復するために奮闘する姿などを描きます。「千と千尋の神隠し」などを製作したスタジオジブリが原作者の許諾を得て、アニメ映画化。宮崎駿監督の長男・吾朗氏が監督し、7月29日に全国公開されました。
ル・グウィンさんは「Gedo Senki」と題した文章の中で、「8月6日にアメリカで完成した映画を見た」とした上で、「絵は美しいが、急ごしらえで、『となりのトトロ』のような繊細さや『千と千尋の神隠し』のような力強い豊かなディテールがない」「物語のつじつまが合わない」「登場人物の行動が伴わないため、生と死、世界の均衡といった原作のメッセージが説教くさく感じる」などと記しました。また、原作にはない、王子が父を殺すエピソードについても、「動機がなく、きまぐれ。人間の影の部分は魔法の剣で振り払えるようなものではない」と強い違和感を表明しています。
一方、菅原文太さんが吹き込んだゲドの声と挿入歌の「テルーの唄」については「特に良かった」としました。
スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは「原作者の感想として素直に受け止めています。ただ、僕らは原作の精神を生かしたつもりです。この映画には賛否両論があるが、楽しんで見てもらえればそれが一番です」と話しました。
配給している東宝によると、8月20日までの観客動員数は421万7000人だということです。
「人民網日本語版」より
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