日本のメディアによりますと、小泉純一郎首相は、このほど、9月の首相退任までに、靖国神社をふたたび参拝する意向を固め、参拝の日を8月15日の日本の終戦記念日にすることを検討しているということです。
小泉首相は、第2次世界大戦のA級戦犯が合祀されている靖国神社をこれまでに5回も参拝しました。これは、元日本軍の侵略で被害を受けたアジア関係諸国の国民感情を傷つけ、日本と周辺諸国との関係の正常な発展を阻んでいます。今年9月には首相を退任する小泉首相が、なぜ、靖国神社をふたたび参拝するのでしょうか。靖国参拝は、本当に彼が言うような「個人の心の問題」だけなのでしょうか。
この問題について、中国国際放送局の記者が、中国社会科学院日本研究所政治研究室の主任・高洪教授に話を伺ってきました。
小泉純一郎首相は今月3日、首相官邸での記者会見で、「靖国神社を参拝するのは、個人の心の問題であるので、なぜ批判されるのか分からない」と述べました。これに対し、高洪教授は、それは個人の心や、宗教の信仰によるものではなく、政治的な目的だと見ています。
「小泉首相は、首相になる前、靖国神社を1度も参拝したことはない。首相に就任した後、彼は、歴史で背負わされた重荷を捨てることによって、日本を政治大国に導くという政治的な目的で、靖国神社を参拝するようになった」と高洪教授は話しています。
小泉首相は、2001年の自民党総裁選挙で、「首相になれば、靖国神社を毎年の8月15日に公式参拝する」ことを支持者に約束しましたが、過去5年の間、内外からの圧力を受けて、それを別の日にしていました。しかし、日本のメディアの報道によると、小泉首相は、今年の参拝を8月15日にすることを検討しているということです。高洪教授は、これは、小泉首相が、退任前に約束を履行する最後の機会と考えているだろうと見ています。しかし、「小泉首相が靖国神社を参拝することは、日本とその国民の利益に合わないだけではなく、中国と日本の政治や経済関係にも悪影響をもたらす」と高教授は述べました。一部の政治家は、政治と経済を分けてことを進めることを提案しましたが、高洪教授は、「政治関係が対立する中で、経済がその影響を受けないということは現実的には難しい」と述べ、また、「中国と日本は、貿易や投資、技術などの面において、今よりもっと高いレベルで進んでいくべきだが、政治的な妨害があるため、そこまでいくことができない」と語りました。
小泉首相は、9月に退任することになりますが、彼の後任者にとっても、靖国神社の参拝や、歴史教科書の修正などの問題は避けることができないものです。次期首相に立候補する安倍晋三内閣官房長官は、このほど、日中関係の改善に力を入れることを表明しました。これに対し、高洪教授は、「我々は、安倍晋三官房長官が、中日関係の改善を口先だけではなく、実際の行動で実現させることを期待している。それができれば、両国関係はきっと今よりよくなるし、中国人民も、両国関係の発展にもっと努力していくことになると信じている」と語りました。
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