初のASEAN・東南アジア諸国連合国防相会議が9日マレーシアの首都・クアラルンプールで開催されました。各国の国防相は会議で、ASEAN諸国での国際犯罪防止とテロ取締りや、海事安全と災害援助の強化を目指して、2020年までに「ASEAN安保共同体」を創設することで合意しました。
報道によりますと、今回の会議は、ASEANが設立されて40年で、初の国防相会議となります。会議には、ミャンマー以外のASEAN加盟国9カ国からの国防相と国防次官が出席しました。3時間にわたる会議では、参加者らは当面の地域と国際安全情勢について意見を交換し、密輸や海賊、テロリズム、軍事的協力それに災害援助などの問題について討議しました。
会議の後発表された共同声明によりますと、現在、東南アジア情勢は安定しているものの、地域安全情勢は依然として憂慮されているということです。声明は、また「ASEAN諸国は安全保障面の課題に直面し、対話と協力を通じて地域の平和と安定を促していくべきだ」としています。
一方、会議で合意した「ASEAN安保共同体」の創設は、早くも2003年10月の第9回ASEAN首脳会議ですでに提案されていました。第9回ASEAN首脳会議では、「ASEAN安保共同体」「ASEAN経済共同体」「ASEAN社会?文化共同体」の3部分からなるASEAN共同体の確立が決定されました。中でも、「ASEAN安保共同体」の枠組み内で、ASEAN諸国が国際犯罪に反対し、海事安全、災害援助及びテロ取締りなどの分野でさらなる協力と協調を進めることになっています。
専門家によりますと、ASEAN諸国は、これまで、政治や経済分野に協力の重点を置いていましたが、近年、その重点を国防や安全保障分野に移行させています。これは、「9・11」同時多発テロ事件が発生以来、東南アジア地域でも、テロ事件や麻薬密輸、人身売買など安全面の問題はますます増えていることが主な原因だということです。このほか、インド洋津波や鳥インフルエンザ感染拡大の影響で、自国の力だけでは新たな危機や課題を乗り越えることが難しくなったため、協力や共同行動を取らなければならないというASEAN諸国の意識も高まっています。
専門家はまた、「ASEAN諸国は発展のレベルや国の利益などの面でかなりの格差が存在している。各国間の協調と協力が非常に困難で、ASEAN安保共同体の創設も長い過程となる。ASEAN安全問題対話メカニズムの重大な措置として、初のASEAN国防相会議は、ASEAN諸国の国防や安全保障分野での情報交換と協力、そして、ASEAN安保共同体の早期創設を促すことができる」と述べました。また、ASEANの高官によりますと、ASEAN国防相会議の目的は、軍事的連盟の確立と共同防衛政策の制定ではありません。それは、各国の国防相による対話展開で第一歩を踏み出し、ASEANの地域融合を目指しています。(05/10 編集:コオリ・ミン)
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