信用体制の不完全さや個人信用の欠陥による金融リスクを防ぐため、現在、中国では全国統一の個人信用情報システムを確立しています。今後、個人の信用記録に問題があれば、マイカーや住宅の購入ないし就職まで影響がある一方、信用記録が良好であれば、より良い金融・社会サービスを受けることができます。
就職して1年あまりの王さんは急いで銀行へ向かい、大学時代に借りたローンを返済しました。卒業したばかりの頃、職探しが困難で、なおかつ一般的に就学ローンを返さない風潮が多く見られたため、王さんはすぐにはローンを返さなかったそうです。しかし、数日前、銀行から通知が届き、王さんを驚かせました。
「昨日、銀行からの知らせがあったの。私の就学ローンはもう期限が切れたので、すぐに返済しなければ、車やマンションの購入、就職にまで影響を与えるって、信用記録が損なわれるんだって」
実は、銀行は王さんの信用情報を調べて、その個人記録を得たのです。中国人民銀行が設立し管理している個人信用情報システムは、商業銀行や農村信用社を含む中国の様々な金融機関の個人信用記録の照会に応じています。ローンの未返済や返済不足、クレジットカードの未払いなど全て調べられます。
現在、中国では個人金融による問題が時々発生しています。例えば、個人就学ローンの未返済率は20%を超え、個人住宅ローンの焦げ付きは全体の5%で、マイカーローンに至っては50%にまで達しました。これまで、中国金融機構は個人に対する信用記録が不完全で、一部の信用記録に問題がある顧客にも相応の処罰が与えられていません。これは銀行業務の展開にリスクをもたらすばかりか、個人の信用意識の向上にもよくありません。これについて、中国人民銀行の蘇寧副総裁は、「全国統一の個人信用情報システムの確立は信用状況を把握し、銀行の個人貸付業務を行うにおいて重要な資料を提供する」と述べた後、更に、
「現在、われわれのデータベースに収録された人数は3億4千万人で、収録された個人貸付金の残高は全国の残高のおよそ97.5%を占める。また、商業銀行の各支社では既に5万2千台の端末が設置されており、照会数は最高で1日12万件に達した」と述べました。
個人信用システムによる情報の漏えいなどの問題について、蘇寧副総裁は、「個人情報や身分識別情報には厳しい保護措置が講じられている。各商業銀行は顧客の信用情報を調べる際、規定に基づいて行わなければならない。それに違反すれば、処罰を受け、犯罪行為に関するものなら、司法機関に引き渡されることになる」と述べました。
今後、中国個人信用情報システムは銀行業務以外の分野まで応用され、納税や、教育、生活、公共事業の費用の納付なども信用記録に収められるとのことです。
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