今月11日、ナザルバエフ大統領の就任式に出席するためカザフスタンを訪れているロシアのプーチン大統領とウクライナのユーシェンコ大統領が会談を行いました。ヨーロッパの大半に影響を及ぼした「天然ガス危機」がつい最近ようやく解決したばかりでしたが、両国の首脳は会談の中、和やかな雰囲気を作り出しました。双方はいずれも天然ガス問題の解決に満足の意を示したほか、国境条約の締結や、両国間の協力「ロードマップ」の制定などで合意に達しました。

　プーチン大統領とユーシェンコ大統領の今回の会談の前日、ウクライナ議会は現内閣の解任を決議しました。それを受けて、ユーシェンコ大統領は直ちに議会のこのやり方は憲法違反だと反発しました。

　このような背景の下で行なわれた首脳会談では、プーチン大統領とユーシェンコ大統領のいずれも現実的な対応を心がけ、和やかに対話することにしました。

　ロシアとウクライナの天然ガスをめぐる争いが解決してわずか一週間、ウクライナ議会はこれを理由に、ユーシェンコ大統領の側にある現内閣の解任を決議しました。世論は、これはまぎれもなくロシア側が期待していた結果であると見ています。ロシアはもともと「エネルギー問題」を利用してユーシェンコ大統領と彼が率いる「オレンジ色陣営」に圧力をかけるつもりだったということです。

　しかし、このたび起きた天然ガス争いで、ロシアは「エネルギー問題」を利用して外交的主導権を得ようとする政策に初めて副作用が伴うことを知りました。ウクライナ国内では反ロシアの声が高まるほか、他の独立国家共同体の国もユーシェンコ大統領に声援を送り、ロシアの「経済侵略」を批判しています。また、西側諸国もロシアに不満を示し、ロシアへ投資する人達の気持ちにも水をさしました。このような状況の下で、プーチン大統領は先にユーシェンコ大統領に好意を示し、「天然ガス争いでの不愉快を忘れよう」と呼びかけました。

　一部のロシアメディアは、「一年ほど前に行なわれたウクライナ大統領選挙で、ロシアはあまりにも強い影響力を及ぼし、ウクライナ国民の反感を招いた結果、ロシアが支持するヤヌコビッチ氏は落選した。今回、プーチン大統領はその教訓を汲み取り、より影に隠れる形で今年3月に行なわれるウクライナ議会選挙に影響を及ぼし、ロシア寄りの政府の成立を望んでいる」としています。

　一方、ユーシェンコ大統領は国内情勢が緊迫化する中、プーチン大統領と会談したことは、ロシアをいかに重視するかが示されています。ウクライナ議会が内閣を解任した理由はロシアとの天然ガス争いの結果に納得できないということですが、ユーシェンコ大統領はプーチン大統領との会談の中で、今回の結果は双方のいずれにとっても有利であると強調し、議会の批判に反論しています。そして、政府はこの争い解決の中で反対派が指摘するようなウクライナの利益を損なうことはしていないと国民の理解を求めています。

　ユーシェンコ大統領が就任して一年、ウクライナ経済の成長はにぶっているため、大統領の支持率は去年9月から下がっています。現在、反対派は「天然ガス争い」でロシアと改めて交渉するよう求めています。今の情勢の下で、ユーシェンコ大統領はロシアとの関係修復に努力しつつ、天然ガス争いの影響を最小限に食い止めるしかないと見られています。