先週末、数万人のアメリカ市民は、イラク駐留アメリカ軍の即時撤退を求めて、首都ワシントンなどの都市でデモ行進を行いました。ブッシュ政権が、イラク戦争を発動して2年半になりますが、アメリカ国内では反戦活動が再び盛んになっており、内外のメディアから注目を集めています。
専門家によりますと、アメリカの反戦ブームには次のような背景があります。
まず、イラク戦争による消耗はブッシュ政権の重荷になっていることです。現在、イラク駐留アメリカ軍は13万5000人で、毎月平均して50億ドルの出費が続いています。イラク戦争勃発以来、アメリカ軍兵士1900人がすでに死亡し、死者の数は増える一方です。
イラク問題において、ブッシュ政権は国民の支持を失いつつあり。CNNやUSAトゥデイ、ギャラップ社のアンケート調査によりますと、59%は、「イラク戦争そのものが誤っている」と見ており、63%の人は、イラクからの完全撤退あるいは一部軍隊の撤退に賛成していることがわかりました。多くの学者は、「アメリカ政府の対外政策の先行きを決める根本的な要因は、やはり国民の考え方である。その考え方がアメリカの党派に影響を与えざるを得ず、それによって、党派は関連政策を調整しなければならなくなる」と強調しました。
アメリカ国内の政界でも反戦の声が上がっています。最初、イラク戦争については、アメリカの各党派からある程度の支持を得ていましたが、2008年の大統領選挙に備えて、クリントン前大統領を含めた民主党の人々はブッシュ大統領の政策に反対するようになりました。アメリカ政界には、前大統領がその後継者を批判しないという政治的伝統がありますが、クリントン前大統領はその伝統を破り、このほど、インタビューを受けた際、ブッシュ政権を批判し、「イラク侵入は一方的な決定である。当時、国連による査察がまだ終わっていないし、軍事行動をそれほど差し迫って行う必要もなかった。また、イラク戦争により、アメリカの対テロ戦争への集中力が削られ、多くの国から得た同情や支持が失われている」と指摘しました。オルブライト前国務長官は、24日現政府のイラク政策に対し厳正な警告を出し、「ブッシュ政権が発動したイラク戦争は、一連の不幸の始まりである。それにより、アメリカは友人を失ったばかりでなく、中東諸国やイスラム世界との関係も悪化してしまった。ここ数年、アメリカが実施してきた一国的政策の役割がなくなったことは明らかで、ブッシュ大統領をはじめとする共和党の内部にも反対の声があがっている」と語りました。
フランスのブラジ外相は25日、「アメリカのブッシュ大統領は、イラクを平和的で民主的な国にすると宣言したが、しかし、暴力衝突や死亡事件が毎日続出し、民族の団結がなかなか維持できないというのが現状である。このような現実を前に、国内の反戦デモはアメリカにとって厳正な警告となるだろう。武力によってイラク問題を解決することはできず、一方的な行動を即時に停止するべきだ」と語りました。
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