アメリカのラムズフェルド国防長官は、27日イラクを緊急訪問し、アメリカがイラクに安全確保の任務を移譲することとイラク駐留アメリカ軍の撤退問題について、イラクの指導者と会談を行いました。
ラムズフェルド国防長官は、会談後に開かれた記者会見で、「現段階になって、アメリカ軍は安全任務の仕事をイラクの治安部隊に移譲する時期になった。しかし、今、アメリカ軍が撤退する具体的なスケジュールはまだ決まっていない。アメリカは、アメリカ軍の早期撤退を期待する」と表明しました。27日、イラク駐留アメリカ軍のケーシー最高司令官は、バグダッドで、「アメリカは来年の春から大幅な撤退を展開し始める可能性がある」と明らかにしました。これは今年4月にイラクの治安状況が悪化して以来、アメリカ軍の司令官が初めて軍隊の撤退問題に言及したものです。
ラムズフェルド国防長官とケーシー司令官の表明は、アメリカ軍がイラクからの大規模な撤退が日増しに必要となっています。その原因は簡単にいえば今のイラク情勢にあります。
イラク政府と国民は、絶えず発生している暴力事件を予防するため、アメリカ軍の早期撤退を期待しています。イラクに駐留するアメリカ軍の存在は、イラクの反米反政府の武装勢力を襲撃する口実となりました。アルカイダのナンバースリーといわれるザルカウィ氏がリードする「イラク聖戦アルカイダ組織」を始めとする武装組織は、何回も「アメリカ占領軍を撤退させることを目標としている。アメリカを始めとする多国部隊がイラクに駐留し続ける限り、テロ襲撃を続ける」と表明しています。イラク暫定政府もアメリカの同盟軍だと見られて、襲撃のターゲットとなりました。ラムズフェルド国防長官は、27日バグダッドで、「アメリカ軍が存在しているにもかかわらず、イラク国民の安全は保障されていないため、殺害がくり返えされる状況にある」と認めました。イラク暫定政府のジャファリ首相は、当日ラムズフェルド国防長官と会見した後、「イラク側はアメリカ軍ができるだけ早く軍事の管理権力をイラク人に移譲することを期待する。アメリカは早くイラクから撤退してほしい」と呼びかけました。
関係者は、「アメリカがイラクから軍隊を撤退させることは、今のイラク情勢の結果である。撤退の規模と具体的な時間はいろいろな状況によって決まる」と指摘しました。
安全確保と移譲問題において、アメリカ軍は暫定政府と交渉が必要で、双方は交渉を強化し、協力を緊密化にしないといけません。イラク情勢の厳しさによって、アメリカはイラクからの撤退を期待するようになります。しかし、アメリカはイラク戦争やイラク問題と完全に離れるかどうかは、まだ分かっていません。
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