アメリカ政府は8月31日、石油精製工場の原油不足の問題を解決するため、戦略的備蓄石油を放出すると発表しました。当日、國際市場の原油価格が少し下落しましたが、9月1日国際市場の原油先物価格は再び上昇しました。アメリカは戦略的備蓄石油を放出すれば、高騰している石油価格をある程度抑制することが出来ると見られていますが、どうして、予想された結果が出てこないのでしょうか？

分析者は「アメリカ政府の出発点は石油の価格を抑制することではない。ブッシュ政府はこの前数回、『アメリカの戦略的備蓄石油の放出はアメリカの石油供給が深刻になった場合しか放出しない』と表明した。今回、アメリカ政府はメキシコ湾地区の石油の生産と加工がハリケーンに破壊された状況の下で、戦略的備蓄石油を放出したのだ。メキシコ湾地区の中南部の石油生産量はアメリカの石油生産量の三分の一を占めている」と見ています。

この差し迫っている問題を解決するために、アメリカ政府は戦略的備蓄石油を放出しました。しかし、石油精製工場は借りた石油を必ず返さなければなりません。そこで、ブッシュ政府のこの決定は国際市場の原油流通総量にはぜんぜん影響を与えません。

ブッシュ大統領は1日アメリカ国民に対し「現在アメリカ市場の原油価格は既に心理的に受け入れられる極限に達した」と表明すると共に、アメリカ市場に更に多くの石油を供給するようＯＰＥＣ・石油輸出国機構の第一の石油輸出国であるサウジアラビアに求めると承諾しました。世論は、絶えず上昇している石油価格によって、ブッシュ政府が既に政治問題に直面していると見ています。しかし、ブッシュ政府は依然としてアメリカの石油価格を抑制する希望をサウジアラビアなどの石油輸出国に頼り、戦略的備蓄石油に頼るつもりはないことが分かりました。一部の分析者は「これからの一定時期に、国際市場の原油供給は依然として不足する」と予測しました。

去年以来、国際市場の原油価格は絶えず上昇しつつあります。経済的利益の面や、国家戦略的利益の面であっても、アメリカとブッシュ大統領を代表とする石油利益集団は石油価格の高騰で最大の利益を獲得したことから、意外な状況が発生しない限り、アメリカは原油価格の上昇を楽観しています。

これから見ると、絶えず高騰している世界原油価格に対して、原油価格を抑制する希望をアメリカ政府に託すことはありえません。フランスのシラク大統領は「石油価格はこれから長期間にも下落しない。自主能力を向上するために、フランス政府は風力や、太陽エネルギー、生物などの再生可能なエネルギーの生産に力を入れる」と表明しました。実は、ＥＵ・欧州連合は、2010年までに、再生可能なエネルギーの消費量がエネルギー消費総量の12％占め、電力生産での使用率は22％に上がるよう各加盟国に要求しました。

分析者は「ＥＵの対策を参考にすべきだ。新しい石油価格の挑戦に対応するために、原油輸入に依存している国は切実かつ効果的な措置を講じる必要がある」と見ています。