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今回は、5月下旬北京を訪れた二人の日本人アーティストにお話を伺います。
作曲家、編曲家、 シンセサイザー奏者の冨田勲さんと「デジタル・ペイティング」で宇宙の絵を描くイラストレーターのKAGAYAさんです。
天壇公園を訪れた冨田勲さん <北京の市民との交流>
天壇公園を訪れた冨田勲さん <回音壁で思い探し>
お二人は生まれ育った時代背景が異なり、音楽と映像と専門分野も異なっています。しかし、宇宙への深い関心と宮澤賢治への愛という深い絆で結ばれています。
2006年、KAGAYAさんは子どもの時に読んでいて、宇宙への好奇心と想像力を含ませてくれた宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」をCG映像作品にしました。この作品は06年11月から、北京天文館でも上映され、多くの中国人の天文愛好者の心をつかんでいます。
2011年、東日本大震災が起きた年、冨田勲さんは被災地の復興応援の気持ちを込めて、「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「雨にも負けず」など賢治の代表作をベースに「イーハトーヴ交響曲」を作曲しました。
KAGAYAさんにとって、冨田さんは中学時代に毎日のようにアルバムを聞いていた憧れのミュージシャンで、冨田さんは「イーハトーヴ交響曲」を作曲する前に、KAGAYAさんの映像を見て、色々イメージが膨らませたと言います。
賢治と宇宙という共通点でつながっているお二人は、5月21日、日本でも行っていないトークショーを北京天文館で行いました。
KAGAYAさんの透き通った純粋な映像に心を奪われ、冨田さんの音楽と宮澤賢治の世界に酔う天文ファンの来場者200人を前に、二人は子ども時代の思い出や賢治との出会い、宇宙や自然について語りました。
今週の「CRIインタビュー」はこのトークショーが終わった後に、お二人に伺った話をお届けします。
【プロフィール】
冨田勲(とみた いさお)さん
1932年東京生まれ。幼少の時、中国の青島や北京などで過ごす。
慶応義塾大学在学中から作曲家として多彩な分野で活躍をはじめ、74年にはシンセサイザーによる「月の光」を発表してビルボード誌の第1位を獲得。さらに日本人として初めてグラミー賞4部門にノミネート。
「花の生涯」、「天と地と」、「勝海舟」、「新平家物語」、「徳川家康」などNHK大河ドラマ、そして多数の山田洋次監督作品で音楽を担当。
2012年1月には世界を舞台にした作曲家・音響クリエーターとしての活動が認められ、2011年度朝日賞を受賞。さらに11月には、宮沢賢治の世界を題材にし、ソリストに世界的人気を誇るヴァーチャル・シンガー"初音ミク"を起用した「イーハトーヴ交響曲」を初演し大きな話題となる。
KAGAYAさん
1968年、埼玉県生まれ。豊富な天文知識と卓越したアートセンスで、宇宙と神話の世界を描くアーティスト。絵画制作をコンピューター上で行う「デジタルペインティング」の世界的先駆者。「12星座シリーズ」は世界的に商品化された。2006年に発表したCG全天映像作品「銀河鉄道の夜」が100館以上のプラネタリウムで上映され大ヒット。以降全天映像作品の制作に注力、世界的に上映される。
2013年、オーチャードホールで開催された冨田勲コンサートでは壁面に映像を投影する演出を担当。一方で星景写真家としても人気を博し、写真を投稿するTwitterのフォロワーは約12万人。天文普及とアーティストとしての功績をたたえられ、小惑星11949番はKagayayutaka(カガヤユタカ)と命名されている。
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