世界(2005)
日本語題:ザ・ワールド
英語題:The World
【キャスト】
趙涛(ジャオ・タオ)
生年月日:1977年
出身地:山西省太原市
出身校:北京舞蹈学院
小さいころから、民族舞踊を学び、さまざまな賞を受賞した経験があります。北京舞蹈学院を卒業後、太原師範学院で教員をしていたとき、舞踊の授業を見た賈樟柯の目に留まり、『站台』に出演することになりました。以降、賈樟柯監督作品の常連になっています。
【主な出演作品】
『站台(プラットホーム)』(2000)
『任逍遥(青の稲妻)』(2002)
『世界(仮題:ザ・ワールド)』(2005)
『三峡好人(仮題:山峡好人)』(2006)
【スタッフ】
監督:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)
生年月日:1970年
出身地:山西省
出身校:北京電影学院文学系
賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督というと、かねてからこの番組でもたびたび紹介していますが、今、世界から注目を浴びている中国監督の一人です。彼は、中国の第6世代監督の代表人物の一人といわれ、これまで『一瞬の夢』『プラットホーム』『青の稲妻』などの名作を発表しています。国際的に高い評価を受けています。日本でも、彼の作品は全部公開されていますし、かなり注目されている監督の一人だと思います。中国山西省の出身なので、彼の映画の舞台は、その故郷の山西省であることが多いようですが、この作品「世界(ザ・ワールド)」では、初めて舞台を北京に移しました。
【主な監督作品】
『小山回家(仮題:小山の家路)』(1995)
『小武(一瞬の夢)』(1997)
『站台(プラットホーム)』(2000)
『任逍遥(青の稲妻)』(2002)
『世界(仮題:ザ・ワールド)』(2005)
『東(仮題:東)』(2006)
『三峡好人(仮題:山峡好人)』(2006)
【ストーリー】
北京にある世界公園というテーマパークを舞台に描いた作品です。
世界公園というのは、北京の南にある有名なテーマパークですけど、その名のとおり、世界中の名所旧跡のミニチュアが展示されています。エッフェル塔やピラミッドなど世界40カ国・109点ものミニチュアがあります。このテーマパークが舞台とは、非常にユニークな設定だと思います。
山西省から北京に出稼ぎに来て、この世界公園で民族舞踊のダンサーをしているタオ(桃)という女性と、公園の警備主任をしているタイシェン(太生)の恋愛を軸に展開する物語。
【レビュー】
主人公の出身は山西省という設定。やっぱり山西省は、監督の原点かもしれません。舞台は北京になっていますが、地方の若者たちの「切なさ」や「むなしさ」を描いている点は、まさにこれまでの作品の延長線上にあるのかと思います。
ところで、ジャ・ジャンクー監督の作品というと、いわゆる映画らしいドラマチックな展開があまりないようです。ごく普通の日常を淡々と撮っており、しかも役者は素人だったりして、そこが逆にリアルな感じがして、どこかドキュメンタリーを見ているような気分になることが多いです。
中国国内では娯楽映画の人気が高いですから、彼のような作品は一般受けしません。しかし、この作品はストーリーに起伏があり、比較的見やすい作品だったこともあって、初めて劇場公開されました。ジャ・ジャンクー監督の中国メジャーデビュー作といっても過言ではありません。テーマパークの華やかさと,そこで働く人々の平凡な毎日。そのギャップを絶妙に描いた作品です。(編集:コオリ・ミン)
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