タバコは健康に多大な悪影響を及ぼすことはわかっていても、なかなか禁煙に踏み切れない、何度も禁煙に失敗しているという人は、周りからは「意志が弱い」と見られがちですが、本当にそうなのでしょうか?
1. 禁煙できないのは"意志の弱さ"のせい?
先進国では年々、喫煙者数が減少する傾向にあります。中国でも昨今の社会環境においては、公共スペースなどでの禁煙エリアの拡大は広まるばかりです。ですが、そういった環境になってきているにも関わらず、まだまだ高い喫煙率で推移しているのも現状です。
肺がんをはじめとして、喫煙することでがんによる死亡率が高くなるとはよく指摘されます。タバコを吸わない人のがんによる死亡率を1とした場合、男性では喉頭がんが32.5倍、肺がんは4.45倍にのぼります。女性でも喉頭がんで3.29倍、肺がんは2.34倍です。逆に、禁煙して10年経つと、タバコを1本も吸ったことがない人の1.4倍までリスクが減少します。
喫煙はがんばかりでなく、肺気腫や慢性気管支炎、ぜんそくといった呼吸器疾患、高血圧、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や脳出血などのリスクを高めます。
体にけっして良くないことは十分わかっているのに、なぜ喫煙をやめられないのでしょうか。これまでは「禁煙できないのは、その人の意志が弱いからだ」と言われ、習慣による精神的依存と考えられてきました。事実、「ニコチンやタールの量が少ないタバコに変えたから、害も減っているはず」とか「タバコを吸わない人でも、肺がんになる人はたくさんいる」などと、自分に都合のいい理屈をつけて禁煙を先延ばししたり、せっかく始めた禁煙を途中で断念してしまう人もかなり多くいます。
しかし、本当に禁煙できないのは、その人の意志の弱さが一番の原因なのでしょうか。
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