高鵬さんと馬さんが犬を買ったのは、一時の衝動からだった。白い綿毛の鞠のような「ナオナオ」に一目惚れし、あまりためらうことなく買ったのだ。
愛情と責任感のある家庭では、ペットは家族の一員のように面倒をみてもらえる。しかし責任感がなく、命を大切にしない人もいる。彼らはペットをおもちゃのように扱い、遊び飽きたときや引越しをするとき、またはペットがケガや病気をしたときに、まるでゴミのように捨ててしまう。社会はこのような行為を激しく非難しているが、なくなりはしない。
その一方で、心温かな人は、捨てられたペットを自発的に引き取って飼ったり、ケガや病気の手当てをしている。北京の昌平区には、捨てられた小動物を専門的に救助する民間機構「人と動物の環境保護科学普及センター」がある。このセンターを設立した張呂萍さんは、捨てられた小動物を救うため、十数年来、自分の精力と財産を惜しまずに投入してきた。これまでに救った小動物は合わせて千匹近くになる。
張さんが小動物を救っていることは、多くのメディアや社会から広く注目されている。積極的にセンターへやって来て仕事を手伝う人も少なくない。一部の企業や個人も、センターに物資支援を行っている。張さんもさまざまな機会を利用して、動物への愛や生命尊重の道理を広めている。
動物に対して思いやりを持つかどうかという問題のほか、ペットと人間の間の摩擦やペットを飼っている人と飼っていない人の間の矛盾も、日増しに社会の焦点となっている。
都市の住宅街を歩くと、ペットの糞便の痕跡をよく見かけ、不愉快になる。夕方、散歩をしていると、つながれていない犬が突然走ってきて、子どもやお年寄り、犬恐怖症の人を怖がらせる。見知らぬ犬同士が顔を合わせると、互いにほえあって、人々をうんざりさせる。マンションの廊下やエレベーターで、威勢のいい犬や大型犬に出くわすと、緊張して胸がドキドキする。犬にかまれてケガをする事例も発生している。
ペットをかわいがっていても、程合をわきまえていない人もいる。ペットを自分の子どものようにみなし、隣近所の人に出会うと「ホワホワちゃん、おじさんにあいさつしなさい」などと言う人がいる。より親密感を出すためにそうしているのだが、他人にとっては不愉快だということに気づいていない。
中国人にとって、ペットを飼うことは新しい事象なので、必要な公徳意識を持っていない人もいるし、国家の関連法規も十分でない。政府も社会もこの問題には非常に関心を寄せていて、北京市では1994年に犬を飼うことに関する規定を制定した。その施行後、2003年には、各種の現実問題に合わせた管理規定(参考データ参照)が新しく発表された。そこには飼い主の道徳や行為に対する規範がある程度、盛り込まれている。
ーー「人民中国」より
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