今年3月、巨大地震が日本を襲い、大津波と放射能漏れ事故もそれに伴い発生した。しかし、翌4月、中国原作の大型日中合作映画「初到東京/東京に来たばかり」が、絶え間なく続く余震と放射能に関する噂が飛び交う東京でクランクインした。これは、震災後初めて東京で撮影が始まった映画となった。日本が誇る「国宝級」ベテラン女優の倍賞千恵子と若手の中泉秀雄が主役を演じる。また、700-800人の日本人が、国内各地からエキストラ出演を希望して東京に集まった。NHKは、4回にわたり撮影の様子を報道した。この中日合作映画の監督は蒋欽民、中国側の主なキャストは秦昊、張鈞ニン(ニンはうかんむりに心、その下に用)など。ある中国人青年と囲碁の達人である日本人との風変りな交流を軸に、親愛の情、友情、国境を超える愛が織りなす感動作に仕上がっている。
蒋監督は「私はロケの場所を選ぶため、車から降りた時、地震が起こった」と震災発生時の様子をつい昨日のことのように話した。監督は8年間の日本留学経験がある。東京さらには日本が抱える複雑な胸の内を、彼は全て映画に注ぎ込んだという。彼は何度も、主演の秦昊に、「君が映画で演じるのは、僕だよ」と繰り返した。映画のシナリオは1994年に完成していた。監督によると、東京と千葉でほとんどのシーンが撮影され、撮影期間はちょうど、震災と放射能漏れ事故という誰もが予想しなかった大きな困難に日本が見舞われた時期だったという。しかし、中日制作チームの高いプロ意識で、数々の困難を乗り越え、クランクアップを実現するという強い意志を持って、日本復興のために撮影を貫徹した。
制作チームが最初に出くわした問題は、当初予定していたキャストの交代だった。秦昊が「東京に来たばかり」への出演依頼の電話を受けた時、ちょうど張芸謀監督作品「金陵十三釵」の撮影中だった。最初は本人も躊躇(ちゅうちょ)し、両親や友人も反対した。しかし、東京の蒋監督と話をするうちに、監督の断固とした決意が秦昊の心を動かした。彼は、日本棋院の棋士の指導を受け、囲碁の達人役を立派に演じきった。また、共演した中泉英雄とも仲良くなった。秦昊は、これまでに数々の役をこなしてきた大女優・倍賞千恵子が、今回の作品にも全力投球している姿を見て、大きな感動と敬意の気持ちを抱いたという。クランクアップした時、制作関係者は全員、大家族のようにまとまった。日本人・中国人の別なく、苦楽を共にし、困難を共に切り抜けたのだ。「制作者同士が一つになった心も、映画を見てくれる人に最も伝えたいことのひとつです。人類の感情は国に関係なく共通なものであり、『愛と希望』こそが、全人類が持つ宝物なのです」と秦昊は熱っぽく語った。
蒋監督の作品からは、きめ細やかな感情が一貫して見る者に伝わってくる。雄壮で偉大な出来事を扱うのではなく、平凡でつつましい日常生活の中に、心の清らかさと素晴らしさを描き出している。「東京に来たばかり」は、超大型大作がひしめく現在の映画界で、極めて珍しい作品だ。同作品は、今年10月に開催される東京国際映画祭コンペティション部門へエントリーが決まっているという。現在、中国で公開されており、その後日本で上映の予定。(編集KM)
「人民網日本語版」より
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