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1955年から、中国語通訳として両国の民間交流に携わってきた神崎多實子さん。通訳暦60年で、現在もNHK BSの放送通訳としてバリバリの現役。通訳現場のみならず、精力的に後進の育成にも力を注いでいます。
この同時通訳のベテラン、神崎さんに、今週から3回に分けてゆっくりお話を伺ってまいます。
1回目の今日は「中国語との出会い」をめぐって、長春で過ごした少女時代の思い出からお話を伺います。
東北師範大学付属中学時代の神崎さん(前列右)と担任の張先生(前中央)
3歳で中国の土を踏んだとは言え、日本が植民地支配をしていた中国の東北部。当時は、中国人社会とは隔絶した日本人の世界でしか暮らしすことができませんでした。こんな多實子さんに中国人に接したり、中国語を覚えたりするきっかけが訪れたのは、日本の敗戦後。
その後、父親の意思で、多實子さんは現地の中学校に進学。クラスは、同じ年の日本人女子生徒1人のほかは、全員が中国人でした。65年前のこの時に机を並べて勉強していたクラスメイトとは、その後もずっと連絡を保ち続けています。写真は、多實子さんの北京来訪をきっかけに、長春、武漢、昆明から北京へ集まってきたクラスメイトが、担任の張先生を囲んで同窓会を開いた時の様子です。
2015年5月、張先生宅での同窓会(左から4人目が先生で、その右隣が神崎さん)
ちなみに、多實子さんと同じクラスの日本人女子生徒とは、のちに多くの中国人日本語学習者に愛用された教材、『やさしい日本語』を編纂した待場裕子さんのことです。
60年にわたり、中国と切っても切れない深い縁を結んだ神崎多實子さん。彼女をひきつけて離さなかった理由は何か。目をきらきらと輝かせて思い出話に花を咲かせた神崎さん。ぜひお聞き逃しのないように。(写真提供:神崎多實子さん)
【プロフィール】
神崎多實子(かんざき たみこ)さん
1935年生まれ。幼年期に中国へ渡航、1953年日本に帰国。都立大学付属高校(現桜修館)卒業。北京人民画報社、銀行勤務などを経て、フリーの通訳者に。通訳暦50年余り。NHK BS通訳、サイマル・アカデミー講師。
編著書:『中国語通訳トレーニング講座 逐次通訳から同時通訳まで』(東方書店、1997年)
神崎勇夫遺稿集『夢のあと』(東方書店、2010年)
『聴いて鍛える 中国語通訳実践講座 ニュースとスピーチで学ぶ』(東方書店、2014年)
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