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 アユの塩焼きから「知る」まで 

2011-08-24 13:45:03     cri    

 吉林大学教授  周 異夫

 大阪の送別会で、アユの塩焼きが運ばれた。昔、一度山の中で天然のアユが出されたことはある。そのアユは小さくて、骨まで全部食べたが、多くの場合は、出されるものが養殖のもので、そのたびに骨に煩わされる。その際、自分も周りの日本人もみんな根気よく細い骨を取り出しながら魚肉を食べていた。ゆっくり骨を取りながら食べることが常識になっていたが、「日本知識クイズ大会」優勝者訪日団の送別に、東京から大阪に来られた大島美恵子日本科学協会会長がアユの骨の取り方をみんなに見せた。

 一行のほとんどはアユの塩焼きが初めてで、別に深く考えもせずに、ただ面白がりながらそのまねをした。みんなは一本の骨がすっぽり抜ける風景を楽しんでいて、喝采の声が耳に絶えなかった。

 そのやりかたは料亭の仲居さんが教えてくれたという。さすが!と思わず感嘆の言葉を口にした。知っているつもりのことだが、本当はまだ知らないところが多いのではないか、と一瞬に思った。

 中国では、ここ十数年来、日本語学習者が大幅に増え、日本のこともかなり知っていると自慢している人も少なくない。しかし、本当に日本のことを知っていると言えるだろうか。

 中国と日本は2000年以上の交流の歴史がある。友好交流の舞台で活躍するのは相手のことをよく知っている人たちであった。友好関係を築く前提は相互理解であり、両国の将来の友好交流の担い手は互いのことをよく理解する青年たちであろう。理解は、まず「知る」ことが必要である。中国の青年の場合は、日本の歴史、文化、社会など、いろいろなことを「知る」必要がある。大学で「日本事情」「日本文化」などの科目で日本のことを勉強しているはずだが、真に「知る」にはまだ道は遠い。「日本知識クイズ大会」に参加することが、中国大学生の日本のことを「知る」意欲をさらに強いものにしたと言うなら、実際に日本を訪問し、日本の大学生や市民と直接に交流することは、そのために真に「知る」道を開いたと言えよう。

 本の中から知っている日本は表面的で断片的なものが多く、静的なものがほとんどであるが、自分が実際にその中に入って得たイメージは連続的で、動的なものが多い。一回の訪問でたくさん知ることはできないが、いくつかのことについて本当にわかれば意義があると言える。

 「万巻の書を読み、万里の道を行く」という古訓がある。書籍から得た知識を実際に検証し、生きているものにすべきだということを言っている。訪問団の学生たちが今回の日本訪問をきっかけに、真に日本のことを「知る」人になり、識者が唱えた「知日派」の中の一員になり、中国と日本の友好交流のために大いに貢献することを強く期待しているのである。  

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