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<コレ若>第七弾(3) 若き画家の卵・中国ミャオ族の艾暁松くん

2011-08-23 15:02:11     cri    

 「コレ若」シリーズ第七弾、これまで2週にわたって若き画家の卵・艾暁松くんの生い立ち、そして北京に来て出会った日本人との交流などを古い資料や暁松くんのデッサン作品と共にお届けしました。今週の第三回は、現在の等身大の暁松くんの姿をお伝えしましょう。


第三回 ご両親の想いと、暁松くんの描く未来

 現在暁松くんは、北京中央工芸美術学院付属中学校で絵の勉強をしている。

 放課後や休日はほとんど絵を描いて過ごすという暁松くん。

 「絵を描くことは僕にとって楽しいことだし、リラックスできます。何も考えなくて良いですから。絵を描くと楽しいし、嬉しいです。好きなものを描けるだけで喜びを感じます。作品が一つ出来上がるたびに達成感があるし、『ああ、今日はここが上手に描けたな』とか、『ここがキレイに描けたな』と思いながら鑑賞すると、自信がつきます」。

 "好きこそ物の上手なれ"と言うが、絵を描くということに対する暁松くんの情熱は正に、"好き"というその気持ちが原動力となっているのだろう。

 「そんなにいつも絵ばかりを描いていて、イヤになることはありませんか?」と聞くと、「ありません」ときっぱり。

 とにかく絵を描くことが好きで仕方ないし、楽しいのだそう。

 「僕は、人物画と風景画が特に好きです。人物はかなり小さい頃から描いてきましたし、割と理解していることも多いと思います。風景は、自分が自然の景色が好きだってことが大きいです。デッサンという意味では、僕は恐らくこの年齢ではもう技術的に最高のレベルに達してると思います。ただ、他の技法となるとダメです」。

 

 今後もデッサンを続けていくのか、それともデッサンはあくまで基礎として捉えているのか。

 暁松くんの将来の道は、3年後大学に進学する際の選択で一度大きな分かれ道を進むことになる。

 「今後は色彩のあるものを勉強したいです。中国画とか、僕が好きな油絵とか。ロシアとかイギリス、フランスに行ってみたいです。どこも芸術的な国だし、芸術をリードする国なので。色んな知識を身に付けて、自分のスタイルを作り出したいと思っています。僕自身もスタイルを創り上げないといけないと思います。ダイナミックな感じで、あんまり精密なのじゃなくて、オシャレなのが良いです。先ずは基本をしっかりして、ある程度になったら自分のスタイルを創造できると思います」。

 つまりそれはオリジナリティの確立。

 暁松くんのデッサンは確かにとても15歳の少年が描いたとは思えないほど緻密で、模写も完成度は高い。

 しかし暁松くん自身も言っている通り、やはりそこから私たち鑑賞者が何らかの芸術としての意志を感じるかと言えば、それにはまだ及ばないのが現状だ。

 「やっぱり、生活とかいろんなことの理解が足りないと思います。多分、経験が少なかったりとか、描画の基礎もまだ十分じゃないと思います。でも、30歳くらいには有名な画家になれたら良いなぁと思っています」。

 

 30歳と言えば、暁松くんにとってあと15年。

 15年後の未来を、暁松くんはどのように描いているのだろうか。

 「将来は、芸術っていう枠の中で生きて行きたいって考えています。会社経営とかそういう道を少しでも選んだら、きっと芸術の道は捨てなければいけないと思います。やっぱり、芸術家として生きれたらって。遊んで、絵を描いて…自由で良いなって」と話す暁松くんだが、もちろんその言葉ほど彼の背景は単純なものではない。

 今回の取材を目前に、ご両親からこんなメッセージをいただいた。

 「私たち夫婦は教養も無く、何も解りません。暁松は4人兄弟の二番目で、姉と弟二人が居ます。私たちの願いは唯一つです。とにかく良い先生に師事して、より早く、より大きく絵描きとして成長して欲しい、それだけです」。

 そう、ご両親は長男の暁松くんの才能に、大きな望みを抱いているのだ。

 

 もちろん暁松くん自身も、そのご両親の想いを重々承知し、彼なりにその想いを背負っている。

 「プレッシャーは感じてます。もし今後才能が認められなかったり、大物になれなかったら、両親はかなり失望すると思います。両親は長い間、本当に苦労してますから」。

 インタビューに答える暁松くんの声が、ふと小さくなった瞬間だった。

 自分のために資金を集めて北京へと送り出してくれたご両親。

 暁松くんは、わずか10歳でご両親の苦労と想いを肌身で感じ、そうした想いと共に北京の地を踏んだのだ。

 小さな少数民族の村から北京へ、そして世界を目指し、自由な芸術を夢見て歩みを進める暁松くん。

 絵の道を進んだことで、日本を見て、日本人に出会い、CRIの日本語部に出会った。

 これからもこうして、その道がたくさんの交流を生み出すことだろう。

 暁松くんがひとまずの成功の区切りとして目標とする15年後の30歳、そこには一体、どんな未来が開けているのだろうか。(取材:李いつごう、文:中原美鈴)

 「これからの中日交流を支える若者たち」第七弾、次週の第四回は、いよいよ李いつごうアナにバトンタッチします!皆様どうぞお楽しみに♪

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