日本国際協力機構(JICA)と中国国際民間組織合作促進会(CANGO)が主催する第2回日中NGOシンポジウムは6月26日から2日間にわたって北京で開かれました。今回のシンポジウムは障害者支援をめぐって、中日両国の事情を互いに紹介したほか、障害者の生活支援と就職支援についての分科会も行いました。さらに、参加者たちは北京にある障害者支援組織やJICAの支援による障害者支援施設も見学しました。
中国のNGO団体は1990年代のはじめ頃に発足したもので、2000年以降に設立された組織が多いです。最初は海外からの助成金で運営を維持するケースが多かったですが、このごろ、国内の関連基金で運営するNGO組織が半分を超えるようになりました。しかし、これまで、中日間のNGO協力はそれほど盛んではありませんでした。その原因について、清華大学公共管理学院NGO研究所の王名教授はこのように分析してます。
「中国のNGOは90年代の半ば頃から数年前まで、海外のNGO団体との協力として資金援助を受けるものがほとんどだった。主体性や双方向性に欠け、相手と情報や経験を共有する協力が足らなかった。これが日本のNGO組織と交流が少なかった原因とも言える。日本のNGOのやり方は双方向性と資源(支援対象や情報、技術、経験)の分担が原則だから」。
今、中国のNGO団体の多くは国内で運営資金を確保するルートがほぼ保証できるようになっています。組織が新しいということで、組織の能力や技術のレベルアップは急務となっているので、日本のNGO組織との協力はタイミングがちょうど良かったかもしれません。
ところで、NGOの活動分野は実に幅広いものです。今回のテーマは障害者支援にしたこと、また、日中NGOシンポジウム開催の経緯について、JICA中国事務所の藤本正也副所長に伺ったところ、「政府と政府の協力には限界があるので、草の根の技術協力も支援するようになった。(省略)2005年に第1回日中シンポジウムを中国側のCANGOと主催して、大成功したので、今回はもっとテーマを掘り下げようとして、中国で家族など関係者を含めて3億人を超える人たちを対象にした障害者支援問題をテーマにした」と答えられました。
中国と日本の障害者が臨まれる環境も違うし、得られる支援も少し異なっています。このような事情は交流の場があるからこそ知られることではないでしょうか。今回のシンポジウムと通じて、お互いのNGO団体の活動ぶりや障害者支援の現状を理解できたほかに、今後の協力のための土台を作り上げました。中国側の主催者、CANGOの黄浩明副理事長は今後の中日NGOの協力について、「今後の協力には長い目で目標を設定するのだ。しかも人員の交流は組織や団体交流の基礎となるので、常に連絡や往来を保つことが大事だと思う。また、お互いの言葉がわかる人材の養成や募集も求められている」と話しています。
中日両国のNGO組織が今後、障害者支援分野にとどまらず、幅広い協力を期待しています。
(整理:東)
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