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選者のプロフィール
 李順然、中国国際放送局(北京放送)元副編集長。著書に『わたしの北京風物詩』『中国 人、文字、暮らし』『日本・第三の開国』(いずれも東京・東方書店)などがある。
前書き

 漢詩は、ときにはわたしを励まし、ときにはわたしを慰め、ときにはわたしの心を洗い清めてくれる。訓読の訳文に加えて、素人のまったくの「遊び」だが、和漢折衷の自己流の戯れ訳を添えてみた。日本の歌人の名訳を添えた詩もある。読んでいただければ嬉しい。

選者のひとこと

 二十四節気の清明(陽暦の四月五日頃)には、中国では一家そろって墓参りをする。踏青(春のピクニック)に出かける家もある。こうしたときに、遠く家を離れ、春の冷たい雨に打たれながら異郷の寒村を一人行く旅人の心は侘しい。冷えた体を、いや、冷えた心を暖めようと、旅人は居酒屋を探す。二行目の断魂は、この詩のキーワード、断腸よりもさらに強い侘しさ、冷たい心を言いたいのだろう。春愁を感じさせる秀作である。

 ちなみに、杜牧の詠った杏花村はどこだったのだろうか。色々の説があるが、割合有力なのは、中国の八大銘酒に数えられる「汾酒」の産地である山西省汾陽県の杏花村、もう一つは杜牧が地方長官をしていたことのある安徽省貴池県の杏花村である。ちょっと、銘酒、観光といった商業ペースのにおいが感じられないでもないが…

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