南京に咲く平和の花〜日本紫金草合唱団の南京コンサート
16:01:50 2025-04-04
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     春の南京を彩る紫色の「二月蘭」が満開の3月、日本の民間合唱団「紫金草合唱団」が南京を訪れました。今回で13回目となる海外公演の参加者は、東京、関西、宮城、金沢、広島など各地からの団員とサポーター、総勢60人あまり。その平均年齢は75歳です。一行は25日から29日の5日間で、侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館(以下「記念館」)や大学、高校を訪問し、現地の人々と交流を深め、市内の少年宮では南京紫金草児童合唱団と共演するコンサートを開催しました。

    南京理工大学に咲く二月蘭の花 

    「紫金草」に込められた記憶と祈り

     合唱団の名前にある「紫金草(しきんそう/ズージンツァオ)」は、中国で「二月蘭」と呼ばれている花につけられた日本名です。この名が生まれた背景には、一人の医師の思いがありました。

     1939年、日本軍による中国侵略戦争のさなか、医学博士の山口誠太郎氏は日本陸軍衛生材料廠(しょう)の廠長として南京を訪れ、戦争で傷ついた街の姿に強い衝撃を受けました。そして、懺悔と平和を記念する気持ちから、南京の紫金山に咲く二月蘭の種を持ち帰り、「紫金草」と名づけました。その後、山口氏の想いに共鳴した人々の手によって、紫金草は日本各地に広まり、平和の象徴として根付いていったのです。

    南京理工大学 日本紫金草合唱団と20年にわたる交流の歩みをパネルで展示。右側の写真中央は山口誠太郎氏の息子・山口裕氏(故人)

     このエピソードは1990年代に新聞の投書欄を通じて、人々に伝えられました。児童文学者で当時小学校教員だった大門高子氏(現在79歳)は、「日本は加害の歴史にきちんと向き合う必要がある」という思いに駆られ、朗読と合唱で構成された組曲『紫金草物語』(作曲:大西晋)を創作。1998年からは、この曲を歌い、日本の加害の歴史を語り継ぐ「紫金草合唱団」が日本各地で次々に結成され、最盛期には1000人以上が参加しました。

    2025年3月28日 大門高子さん(左から二人目)、南京の少年少女たちと紫金草花園にて

    27年にわたる南京市民との交流

     2001年春、紫金草合唱団は初めての南京公演を実現し、約200人の団員が中国を訪れました。それから27年、合唱団は毎年のように南京を訪れ、記念館をはじめとする南京各界との交流を積み重ねてきました。侵華日軍南京大虐殺遇難同胞記念館の周峰館長は、紫金草に込められた思いを次のように語りました。

     「歴史の証人でもあるこの紫色の小さな花は、人々の希望を載せた歴史の花であり、平和の花であり、希望の花でもあります」

     その言葉は、南京の人々が過去を受け止め、日本の人々と共に未来に向かう意志を伝えるものでした。

     2025年3月27日、南京市建鄴区少年宮内での二つの紫金草合唱団の共演ステージ

     南京市では記念館の平和宣伝活動の一環として、「南京紫金草児童合唱団」が結成され、次世代へと思いが受け継がれています。また、地元作家の陳正栄氏は「紫金草」をテーマにした小説やノンフィクション作品を執筆・出版を実現しました。江蘇省の出版社から出された小学校の教材にも、紫金草物語が採用されています。

    2025年3月28日 南京理工大学にて

     南京理工大学の学生芸術チームや地元の市民合唱団も紫金草合唱団との交流がきっかけに、東京や大阪を訪問し、日本国内でのステージでも共演してきました。

     紫金草合唱団にとっては、8年ぶりとなる今回の南京理工大学の訪問です。この日は、花畑が広がるメタセコイアの林に、どこまでも大合唱が響いていました。

    歴史を忘れず 未来に向かう

     中村昭一団長はコンサート冒頭のあいさつの中で、 “不忘歴史 面向未来(歴史を忘れずに、未来に向かう)”という中国語を繰り返しました。

     また、記念館の周峰館長は次のような力強いメッセージを伝えました。

     「歴史を心に銘記する目的は、恨みを継続することではありません。暗い過去から教訓を汲み取り、歴史を鑑として未来に向かい、人々に平和への願いと平和を守る気持ちを呼び起こすことです」

    2025年3月28日 南京田家炳高級中学で生徒たちの歓迎を受ける紫金草合唱団

     未来を担う若者との交流が、今回の合唱団の訪中日程で重要なウェートを占めていました。少年少女合唱団との共演や南京理工大学での野外大合唱のほか、団員たちは日本語クラスがある南京田家炳高級中学も訪れ、生徒たちの歌やダンスのステージを鑑賞したほか、生徒たちの案内でキャンパスの散策も堪能しました。

     

    2025年3月28日 南京田家炳高級中学で日本語クラスの生徒とキャンパス散策する合唱団員たち

    「どの人も笑った顔がとてもすてき。本当にかわいらしい日本のおじいさん、おばあさんばかりです」

    「皆さんが歌っているときの目の輝きを見て、私たちと友達になりたいと本当に思っている気持ちが伝わりました」

     中国の若者たちの感想です。

     南京訪問に対する紫金草合唱団の団員たちの思いや、南京の人々の受け止め方を動画にてご紹介します。

     (取材・文責:王小燕、鳴海)

    【関連動画】

    ■紫金草合唱団の南京訪問~歴史と向き合う

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      ■紫金草合唱団の南京訪問~友情を温める

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        ■紫金草合唱団の南京訪問~未来と出会う

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          4月25日ニュース

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