ボアオ・アジアフォーラム 田中伸男氏が語る中日エネルギー協力の可能性
08:45:42 2025-03-31
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     国際エネルギー機関(IEA)の元事務局長である田中伸男氏は、海南省瓊海(けいかい)市でこのほど開催されたボアオ・アジアフォーラムに出席し、「グリーン電力の共同建設と共有」分科会で講演を行った後、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/ CMG)の独占インタビューに応じました。田中氏は、中国のグリーンエネルギーに対する取り組みや急速なエネルギー転換を高く評価し、日本との戦略的協力の可能性について具体的なビジョンを提示しました。

     田中氏は、「中国は大変な勢いで、エレクトリフィケーションを進めている。現在は太陽光や風力など、あらゆる再生可能エネルギーに力を入れており、電気自動車や新幹線を走らせ、バッテリーの製造も行っている。中国は電気関係やクリーンエネルギーに関する、全ての産業分野で大掛かりな産業政策を進めている。水素経済の概念は日本が先駆けではあったものの、実用化では中国が先行している」と指摘し、「中国は再生可能エネルギーと原子力発電を急速に拡大させている。石油需要は早期にピークを迎えるだろう。これは世界のグリーンエネルギー転換において重要な示唆を与えるものだ」と語りました。

     また、分科会では、中国のエネルギー輸入依存度について、「現在、化石燃料の輸入依存度は60%、天然ガスは40%だが、近い将来はそれぞれ80%と50%に達する見込み」との分析を示したものの、インタビューでは、「中国は化石燃料の輸入依存を減らすため、自立可能な再生可能エネルギーと原子力に力を入れ、エネルギー安全保障を強化している」と指摘し、「中国は再生エネルギーや新エネルギーを積極的に開発し、いまや国内のみならず、世界にも輸出している。このモデルは非常に興味深く、日本も学ぶべきだと思う」と述べました。

     中日のエネルギー分野における協力の可能性については、水素エネルギーを例に挙げ、「日本も水素エネルギーに取り組んでいるが、まだ需要は小さく、コストも非常に高い。世界中に水素のサプライチェーンを広げればコストも下げられる。これは日中が協力できる非常に重要なプロジェクトのひとつだと思う」と述べました。

     さらに、原子力分野での協力については、「福島の事故は人為的なミスが原因となった。同様の事故が起きないよう、中国にも安全を重視して取り組んでほしい。現在、中国は世界の原子力分野をリードしているが、小型モジュール炉(SMR)の開発については、日中の協力が可能だと考えている」との見解を示しました。

     そして、未来を担う若い世代の交流について、「わたしが教えている東京大学には、中国からも多くの優秀な学生が来ている。日本の企業に勤めている中国人も多く、彼らは新しいアイデアに挑戦しながら、さまざまな研究に取り組んでいる。こうした協力は有意義であり、日中友好にも役に立つと思う。今後のアジアの開発のためにも、若い人たちの相互理解は非常に重要だと思う」と話しました。(張、鳴海)

    4月18日ニュース

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