【観察眼】美しい未来を築く「世界版“改革開放”」とは
世界がさまざまな困難に直面する今、国境を越えた協力がますます重要になっている。人道支援、生態環境保護、交通インフラの発展など、多くの分野で各国が協力し合う姿は、まさに「人類運命共同体」の理念を体現するものだ。
広大な海には、中国海軍の大型病院船「平和の方舟」という特殊な船が航行している。2008年に運航を開始したこの船は、以来、国際的な人道医療援助を何度も遂行してきた。2013年、超大型台風「台風30号(ハイエン)」がフィリピンを襲い、多くの死傷者を出した際、「平和の方舟」は迅速に被災地に赴いた。彼らは最初に到着した外国の医療チームとなり、2208名の患者を診察し、44件の手術を実施した。
「東方の宝石」や「吉祥の鳥」とも呼ばれる希少動物のトキは、一時絶滅の危機に瀕していた。この深刻な課題に対して、中日両国は共同でトキ保護プロジェクトを開始した。中国は日本にトキの個体を贈呈し、双方は技術交流、資源共有、共同研究を通じてトキの保護と繁殖を共同で推進してきた。現在、日本の佐渡島のトキは新たな環境に適応し、繁殖にも成功し、その数を増やし続けており、生態協力の美談となっている。
中国・ラオス鉄道も東南アジアの内陸経済図を描きなおしている。以前、中国の昆明市とラオスのビエンチャン間の移動には3日間を要していたが、今では朝に出発すれば、その日の夕方に到着できるようになった。雲南省の特産であるキノコが中国・ラオス鉄道の恒温車両で運ばれ、ビエンチャンの食卓に到着する時、キノコにはまだ雲南のキノコの名産地・哀牢山の朝露が残るほど新鮮な状態を保っている。中国・ラオス鉄道で中国に輸送されるラオスのコーヒー豆は、中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列」を通じて世界に届けられている。
「平和の方舟」も、トキ保護プロジェクトも、中国・ラオス鉄道も、単なる医療船による人道支援、生態環境保護における連携、交通の相互接続というだけでなく、中国と世界各国が協力しあい、共に人類運命共同体を築く生き生きとした実例でもある。
12年前、中国の習近平国家主席は初めて人類運命共同体の構築という理念を打ち出した。この12年は、人類社会にとって大きな変革の12年であり、人類運命共同体理念が萌芽期から発展期へ、提唱から共通認識へ、ビジョンから実践へと至る12年でもあった。
人類運命共同体の提唱は、世界が大きな発展、大きな変革、大きな調整という重要な時期を迎える今、極めて大きな意義を持っている。平和と発展が依然として時代のテーマである一方で、グローバルガバナンスシステムや国際秩序の変革は加速し、各国の相互連結と相互依存は日増しに深まっている。同時に、経済成長の原動力の不足、貧富の格差の拡大、地域の衝突、さらには非伝統的な安全保障上の脅威など、世界は多くの挑戦に直面している。このような状況の中で、人類運命共同体の構築は時代の潮流に適応し、各国の人々の共通の利益に合致する必然的な選択となった。
人類運命共同体が内包する理念は、豊富で奥深く、恒久平和、普遍的な安全、共同繁栄、開放と包容、そして清潔で美しい世界の構築を提唱している。これまでの12年間、中国はこの理念を積極的に実践し、「一帯一路」共同建設イニシアチブの推進、アジアインフラ投資銀行の設立、シルクロード基金の設立など、具体的な行動を通じて世界の相互連結と共同発展を推進してきた。また、中国はグローバルガバナンスシステムの改革と建設にも積極的に参与し、新たな国際関係の構築の推進、多国間主義とグローバルなパートナーシップの提唱、世界の平和と発展の維持のために重要な貢献を果たしてきた。
日本の鳩山由紀夫元首相はこの理念を高く評価し、人類運命共同体の構築は人類の進むべき方向を示すものだと述べた。また、横浜国立大学の村田忠禧名誉教授は、人類運命共同体理念を「世界版の“改革開放”とも言える」と評価し、「世界の発展のボトルネックを解決する糸口になるだろう」と期待を寄せている。この世界版の「改革開放」が各国国民を結びつけ、より美しく、平和で繁栄した未来を共に開くきっかけとなることを信じている。(CMG日本語部論説員)
3月21日ニュース
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