新疆で2億5000万年以上前の古生物の「避難所」発見
南桃東溝の断面で発見された、ペルム紀末の大絶滅開始時期に現れたものとみられる松柏類の幹化石
中国科学院はこのほど、中国科学院南京地質古生物研究所、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所などから成る研究チームが、中国北西部新疆ウイグル自治区吐哈盆地(トルファン・ハミ盆地)の西端にある南桃東溝の露出した断面で発見された隠花植物の花粉の化石を研究し、ペルム紀(二畳紀)末の大絶滅期間中、陸上に「避難所」があったことを発見したと発表しました。
今から約2億5200万年前のペルム紀末の大絶滅は地球史上最悪の生態危機であり、当時の海洋では80%以上の種が絶滅しました。
中国の研究チームは南桃東溝のペルム紀末の大絶滅前後の地層で発見された隠花植物33個の花粉の化石のうち、大絶滅期間に絶滅したものは一つも発見しませんでした。これは、南桃東溝地区にはペルム紀末の大絶滅前の16万年から大絶滅後の16万年までの間、水生ワラビの茂った平原と松柏類(常緑針葉樹)の森林が常に存在し、これらの植物群落は生存を続け、ペルム紀末の大絶滅により中断されなかったことを示しています。
研究チームは、当時の植生がペルム紀末の大絶滅を逃れることができた理由は、主に長期的に安定した局地気候と関係があることを発見しました。桃東溝地区は、ペルム紀の大絶滅前後に半湿潤から季節性干ばつの気候を維持しており、年間降雨量は1000ミリ前後を維持していました。
吐哈盆地は、ペルム紀末の大絶滅の主な誘因であるシベリア巨大火成岩区(LIP、シベリアで発生した巨大な火成活動において大量の玄武岩質溶岩が噴出して形成された広大な火成岩台地)に近接しているものの、吐哈盆地には陸上植生の「避難所」が現れ、陸上の他の生物が急速に回復する「生態オアシス」となっていました。これは、陸上での生物の絶滅につながる環境要因の分布が、実際にはさまざまな緯度の大気の循環と局地気候により制限されていることを示しています。(Mou、榊原)
3月21日ニュース
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